第58話
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、ご容赦ください。実は、放火事件の犯人がようやく明らかになったので……」
不機嫌な表情でエステル達を見ていたダルモアだったが、ヨシュアの答えに驚いた。
「!その件か……仕方あるまい。公爵閣下、しばし席を外してもよろしいでしょうか?」
「ヒック……。いや、ここで話すといい。どんな話なのか興味がある。」
「し、しかし……」
「いいじゃない♪公爵さんもああ言ってるし。聞かれて困る話でもないでしょ?」
「まあ、それはそうだが……。そういえば夕べは、またもやテレサ院長が襲われたそうだな。放火事件と同じ犯人だったのかね?」
デュナンも事件の詳細について聞く事にダルモアは戸惑ったが、エステルの言葉に納得して、尋ねた。
「その可能性が高そうです。残念ながら、実行犯の一部は逃亡している最中ですが……」
「そうか……。だが、犯人が判っただけでも良しとしなくてはならんな。ちなみに誰が犯人だったのかね?」
「うーん、それなんだけど。市長さんが考えている通りの人たちだと思うわよ。」
「そうか……残念だよ。いつか彼らを更正させる事ができると思っていたのだが……。単なる思い上がりに過ぎなかったようだな……」
「あれ、市長さん。誰のことを言ってるの?」
無念そうに語っているダルモアにエステルは不思議そうに尋ねた。
「誰って、君……。『レイヴン』の連中に決まっているだろうが。昨夜から、行方をくらませているとも聞いているしな……」
エステルの疑問にダルモアは確信を持った表情で答えた。
「残念ですが……彼らは犯人ではありません。むしろ今回に限っては被害者とも言えるでしょうね。」
「な、なに!?」
しかしヨシュアの答えに驚き、思わず声を上げた。
「今回の事件の犯人、それは……ダルモア市長、あんたよっ!」
「!!!」
ヨシュアに続くようにエステルは声を張り上げて、ダルモアを睨んだ。エステルの言葉にダルモアは厳しい表情のまま、固まった。
「秘書のギルバードさんはすでに現行犯で逮捕しました。あなたが実行犯を雇って孤児院放火と、寄付金強奪を指示したという証言も取れています。この証言に間違いはありませんか?」
「で、でたらめだ!そんな黒装束の連中など知るものか!」
「あれ〜、おっかしいな。あたしたち、黒装束だなんて一言も言ってないんだけど〜。」
「うぐっ……。知らん、私は知らんぞ!全ては秘書が勝手にやったことだ!」
「往生際の悪いオジサンねぇ。」
以前のような紳士的な態度をなくし、悪あがきをしているダルモアを見てエステルは溜息を吐いた。そしてヨシュアは退路を断つかのように、話を続けた。
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