外伝〜幼き才女の優しさ〜
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ータにアガットは説明した。
「エレボニア軍の焼夷弾が流れ弾になって降り注いで……あっという間に火がついて黒コゲになっちまった。その後、村長たちが物好きで建て直したのは知っていたが……。まさか、家具や内装まで揃えたとは思わなかったぜ。」
「……………………………」
「俺も今まで中に入ったことは無かったんだが……。さすがに、ここまでされたら礼を言うしかなさそうだな。」
「………………………………。……それ……じゃあ……。その時に……ミーシャさんは……」
話を聞き、既にアガットの妹のミーシャが過去の人物となったことを察したティータは泣きそうな表情で尋ねた。
「………………………………。……はは、バレちまったか。……俺の誕生日のな、プレゼントを用意していたんだ。手造りの……俺に似合うアクセサリってな。山道に避難する途中で、あいつ、それを取りに家に引き返して……。そこに焼夷弾が落ちた。」
「………………………………」
「助けた時は……ひどい火傷を負っていた。それでもプレゼントはしっかりと手に握りしめて……。金具はダメだったが石の部分は無事に残ってた。コイツがそうだ。」
アガットは首に付けていた石のアクセサリーをティータに見せた。
「……あ…………」
「七耀石でも何でもない、ただの綺麗な石コロさ。多分、この近くにある小川で見つけたんだろう。こんな物のためにって何度思ったか分からねえが……不思議とあいつを責める気にはなれなかった。」
首飾りを見つめ、ふとミーシャの顔を思い浮かべ、首飾りを強く握りしめた。
「形見のつもりはなかったが……。戦争が終わって村を出て、荒れた暮らしをしていた時もこいつだけは捨てられなかった。ハハ……情けない話だろ?」
「そ、そんなこと……!」
「実際、情けないんだよ。コイツを眺めている間は俺は怒りを忘れられずにすんだ。あの時、あいつを助けられなかった不甲斐ないてめえ自身への怒りを……」
「あ……」
「そうしてかき立てた怒りを重剣に乗せて叩き付けることで……どうやら俺はてめぇ自身を保っていたらしい。……欺瞞に陥って前に進めない半端者……。ククク……あの野郎の言う通りじゃねえか。」
「アガットさん……」
自分を責めるように皮肉に笑っているアガットをティータは心配そうな表情で見つめ続けた。
「いや……もっとタチが悪いか。都合の悪いことから目を逸らして逃げるクソ野郎……。俺が一番嫌いな負け犬ってわけだ。ハハハ、コイツは傑作だぜ!」
「アガット……さん……。………………………………」
自分を追い詰めているアガットを見ていられなくなったティータはアガットに近づいた。
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