第53話
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ギルドに戻ったエステル達はラヴェンヌ村であった経緯をルグランや、またラヴェンヌ村の事を聞きに来たメイベル市長に説明した。
〜遊撃士協会・ボース支部・夜〜
「いやはや……本当にご苦労じゃったのう。しかし、アガットのやつにそんな過去があったとは……」
「そうですわね……。お話を聞いてようやく合点がいきましたわ。あの時、アガットさんがどんな気持ちでいたのかを……」
アガットの過去を知ったルグランは疲れた表情で溜息を吐き、メイベル市長は辛そうな表情をしていた。
「あの時?」
「10年前……『百日戦役』が終わった直後に、アガットさんが、わたくしの家を訪ねてきたことがあったのです。」
「ええっ!?」
「なんでまた市長の家に……」
メイベル市長の話を聞いたエステルは驚き、ルークは目を丸くした。
「ええ、当時市長だった父に凄い剣幕で喰ってかかったのです。ボース市長は、地方全体を総括する責任を兼ね備えている……。なのにどうしてラヴェンヌ村を見捨てたのかと。」
「あ……」
「まだ子供だったわたくしは父を責めるアガットさんの顔を見てとても頭に来てしまって……。それでつい飛び出していって平手打ちをしてしまったのです。」
「あちゃあ〜……」
「ま、不幸な事件だったわけね。」
メイベル市長の説明を聞いたエステルとシェラザードは苦笑し
「というかメイベル市長は悪くないわよ。そんなのあの赤毛のお兄さんの逆恨みだし。」
「キッツイ事、言うな〜。」
「……でもレンちゃんの言う通りね。」
「うむ。全ては不幸の偶然が重なった結果だ。」
「でも、アガットは家族を失ったのだから、そうなるのも仕方ないと思うよ。」
レンが呟いた言葉を聞いたフレンは苦笑し、アーシアやバダック、ソフィは静かに頷いた。
「ええ……。結局、父はアガットさんの問いに答えることはできませんでした。代わりに、復興のための援助金を村に贈るつもりだと説明したんです。それを聞いたアガットさんは父に向かって拳を振り上げて……。……でも、結局振り下ろせずにそのまま走り去ってしまいました。」
「そんな事があったんだ……。だからアガットさんと市長さん、お互い妙な雰囲気だったわけね。」
メイベル市長とアガットが話していた時に感じた微妙な雰囲気を思い出したエステルは納得した。
「……お互い、あの時のわだかまりがあるのでしょう。でも、アガットさんの妹さんが戦争で亡くなっていたなんて……。わたくし……あの方を誤解していたようですわ。」
「まあ、それについてはその事を口にしなかった彼にも責任があるし。メイベルが気にする必要はないと思う
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