Side Story
少女怪盗と仮面の神父 11
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で隠した女性がそっと両手を合わせて頭を下げたかと思うと、琥珀に近い金色の目を細めた男性が……
すっごく黒い笑みを浮かべた。
どう好意的に見ても真っ黒だった。
(そっ……外堀を埋めやがったあぁああああ────っ!)
神父に熱中している女衆。
神父に近寄る女に嫉妬しつつも
ミートリッテが『嫌です、嘘です、お断りです!』と猛反発すれば
神父様たってのお誘い(ここが重要)を断るとは何事か!
と、逆ギレしかねません。
だって皆さん、神父様・命! 状態ですから。
理不尽ですが、前しか見えてない人ってのは、そんなもんです。
しかも保護者様、匙、投げてましたね。
思いっきり頭を下げられて。
「ごめん。無理。」って、素敵な幻聴まで聴こえました。
そりゃそうだ。
数十人対二人。
多勢に無勢なんだから。
まさかの取り巻き攻撃により、未成年の盾、呆気なく崩壊。
「ややや、ちょっ、あ、あのね、みんな! 一旦落ち着……」
「うんー? なぁにー?」
「聴こえなーい」
笑顔が怖い。
嫉妬と殺気を隠してない、女衆の笑顔が怖い。
(たった一人を勧誘する為だけに、ここまでするの!? 信じらんないっ! アーレスト神父の卑怯者ーっ!)
「申し訳ありません皆さん。ミートリッテさんとハウィスさんに込み入ったお話がありますので、一時彼女達をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「「「もちろんです!」」」
ミートリッテを押し潰す勢いで迫っていた女達がずぁっと二手に分かれ、ミートリッテとアーレストとの間に一本の道を作った。
軍隊の整列さながらの動きに、事態を見守っていた数少ない男達の表情が強ばる。冷静でいられた者は全員、寸分違わず同じ瞬間に、同じ言葉を思い浮かべたことだろう。
なんじゃこりゃ……と。
「改めてお話しましょうか。ね? ミートリッテさん」
優雅な足取りでミートリッテの前に立ち、呆然自失となった手を引いて、ハウィスと共に三人で家の中へと入っていくアーレスト。
玄関扉を閉める直前、女衆に向き直り「皆さんも、暗闇は危険ですから、お早めにご帰宅なさってくださいね。貴女方に何かがあっては、心配で夜も眠れません」と、笑顔付きの声かけも忘れない。
黄色い悲鳴が外で響くのを、ミートリッテは頭を抱えながら聴いていた。
「ごめん、ね」
申し訳なさそうに震える言葉で顔を上げれば
「……そんな心無い謝罪は要らないよっ!」
口元を押さえてぷるぷると肩を揺らすハウィスの姿に、なんだかもう……脱力するしかなかった。
本人は堪えてるつもりかも知れないが。
頬や耳を真っ赤に染めて、完っ璧に笑ってる。
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