Side Story
少女怪盗と仮面の神父 11
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なーい」
笑顔が怖い。嫉妬と殺気を隠してない女衆の笑顔が怖い。
(たった一人を勧誘する為に此処までするの!? 信じらんない! アーレスト神父の卑怯者ーッ!)
「すみません、皆さん。ミートリッテさんとハウィスさんに込み入ったお話がありますので、一時彼女達をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「「「勿論です!」」」
ミートリッテを押し潰す勢いで迫っていた女達が ずぁっ と二手に分かれ、彼女とアーレストとの間に一本の道を作った。
軍隊の整列さながらの動きに、事態を見守っていた数少ない男達の表情が強張る。
冷静でいられた者は全員、寸分違わず同じ瞬間に同じ言葉を思い浮かべただろう。
なんじゃこりゃ……と。
「改めてお話しましょうか。ね? ミートリッテさん」
優雅な足取りでミートリッテの前に立ち、呆然自失の彼女の手を引いて、ハウィスと共に家の中へ入っていくアーレスト。扉を閉める直前、女衆へ向けて「皆さんも暗闇は危険ですから、お早めにご帰宅なさってくださいね。貴女方に何かあっては、心配で夜も眠れません」と、笑顔付きの声掛けも忘れない。
黄色い悲鳴が外で響くのを、ミートリッテは頭を抱えながら聴いていた。
「ごめん……ね」
申し訳なさそうなハウィスの震える言葉に顔を上げれば
「……そんな心無い謝罪は要らないよっ」
口元を押さえてふるふると肩を揺らすハウィスに、なんかもう……脱力するしかなかった。
本人は堪えてるつもりかも知れないが、頬を真っ赤に染めて完っ璧に笑ってる。
「すみません。こんな状況になるとは思ってなくて」
(嘘つけーッ! わざとでしょ! 絶対わざとでしょおーッ!)
ハウィスに謝罪するアーレストの背中へ飛び蹴りを噛ましたくなるのは、ごく自然な感情の流れだと思いたい。
「仕方ないわ。こうなってしまったら、私にはどうにもできない。彼女達に説明したって、どうせ受け付けてくれないもの。ミートリッテ自身でなんとかしてね」
「なんとかできるなら、こんな事にはなってないよぉ……」
「まぁまぁ。いきなり入信、即刻修行とは言いません。社会勉強のつもりで歴史や背景を軽くなぞっていただいて、どうしても駄目だと思ったら、それ以上の無理強いはしませんから」
その軽いなぞり期間が極めて大迷惑なのだが。
大体、無理強いはしないってのも嘘だよね。諦めるつもり、全然無いよね。
一発殴りたい。
「今日はもう暗いです。自警団の方々のお仕事もありますから、このまま出歩かないほうが良いでしょう。明日、教会でお待ちしていますね」
「決定なの!? ねぇ、決定なの!? 私の意思は尊重してくれないの!?」
「良いじゃない。元々教会で使われてる物に興味があったんでしょう? 何かは知らないけど、ついでにじっく
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