Side Story
少女怪盗と仮面の神父 11
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の?」
冷静になってみれば、ほんの数秒の違和感。
気のせいだったと思うには鮮明すぎる恐怖。
海賊に囲まれた時の比じゃなかった。
けれど、何度確認してみたって、周りには人間も動物も居ない。
隠れられる場所も、特には無い。
「用心だけはしとくか」
居ないものは、居ないのだ。
いくらおかしいと思ったって、居ないものには対処できない。
なら、どうするべきか。
今、優先すべきは何か。
上げた右手で襟元を掴み。
そのまま家へ直行する。
「げ。」
その光景は、予想できる範囲内の筈だった。
しかし、昨日のミートリッテはコロコロ転がりまくる事情に翻弄され。
そこまで深く考えが及んでなかったと言わざるを得ない。
「よお、ミートリッテ! お前、アリア信仰に入るんだって?」
顔見知りの男が立ち尽くすミートリッテを見つけ。
明らかにからかう意図を持って、声をかけてきた。
その声にいち早く反応したのが
ハウィスの家を取り囲んでいる、何十人もの女。
ザッ! と音を立て、一斉に振り向く悪魔の形相達。
(ひぃっ)
腰が抜けてもおかしくない場面だが、なんとか一歩退いただけで堪えた。
「ミートリッテさあ〜、アリア信仰に興味あったんだねえ〜?」
無い。
そんなものは、断じて無い。
「意外だわあー。ああでも、昨日は教会に居たっけねえー?」
はい。居ました。
その点は認めます。
でも、決してやまし……
いえ、やましくないとは言えませんが(目的は泥棒だし)!
神父様に用は……
いえ、用はありましたけど(妨害対策の意味で)!
お姉さま方に微笑まれながら殺気で刺されるほどの用事じゃありません!
なのでどうか、視殺は勘弁してくれませんか!
「ねぇねぇ、アリア信仰のどんなところに惹かれたのー?」
「私達にくわしぃーく教えて欲しーなぁーあ?」
(いぃやぁああっ)
じわりじわりと包囲網を狭めてくる女衆の気迫ときたら、拳をベキベキと鳴らしながら絡んでくるゴロツキにそっくりだ。それ以上かも知れない。
大失敗……大敗北だった。
女衆の目的はアーレストであって、教会じゃない。
アーレストが教会を出歩くなら、女衆も一緒に動く。
村の中で人の気配が動いてるうちにアーレストが家まで来るとはつまり、女衆が家の周りに集まるということで。
即ち。
『ミートリッテがアリア信仰に云々』が村中に拡散することを意味する。
涙目で狼狽していると。
女衆の壁の向こうに、並び立つ美しい男女が見えた。
二人揃って、ミートリッテに足先を向け。
群青色の虹彩を目蓋
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