Side Story
少女怪盗と仮面の神父 11
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しかし、昨日のミートリッテはコロコロ転がりまくる事情に翻弄され、其処まで深く考えが及んでなかったと言わざるを得ない。
「よお、ミートリッテ! お前、アリア信仰に入るんだって?」
顔見知りの男が立ち尽くすミートリッテを見付けて、面白そうに声を掛けてきた。その声にいち早く反応したのが……家を取り囲む何十人もの女。
ザッ! と、一斉に振り向く鬼の形相達。
(ひぃっ)
腰が抜けてもおかしくない場面だが、なんとか一歩退いただけで堪えた。
「ミートリッテ、アリア信仰に興味あったんだねー」
無い。そんなものは断じて無い。
「意外だわー。あぁでも、昨日は教会に居たっけねぇー」
はい。居ました。その点は認めます。でも決してやまし……いえ、やましくないとは言えませんが(目的は泥棒だし)、神父様に用は……いえ用はありましたけど(妨害対策の意味で)! お姉さま方に微笑まれながら殺気で刺されるほどの物じゃありません! なのでどうか、視殺は勘弁してくれませんか!
「ねぇねぇ、アリア信仰のどんな所に惹かれたのー?」
「私達にくわしぃーく教えて欲しーなーぁ?」
(いぃやぁああっ)
にじにじと包囲網を狭める女衆の気迫ときたら、拳をベキベキ鳴らしながら絡んでくるゴロツキにそっくりだ。それ以上かも知れない。
大失敗……大敗北だった。
女衆の目的はアーレストであって、教会じゃない。
アーレストが教会を出歩くなら、女衆も一緒に動く。人の気配がある内にアーレストが家まで来るとはつまり、女衆が家の周りに集まるという事で。
即ち、「ミートリッテがアリア信仰に云々」が村中に拡散する事を意味する。
涙目で狼狽していると、女衆の壁の向こうに並び立つ美しい男女が見えた。揃ってミートリッテに足先を向け、群青色の虹彩を目蓋で隠した女性がそっと両手を合わせて頭を下げたかと思うと、琥珀に近い金色の目を細めた男性が……
すっごく黒い笑みを浮かべた。
どう好意的に見ても真っ黒だった。
(そ……外堀を埋めやがったあぁ!)
神父に熱中している女衆。神父に近寄る女に嫉妬しつつも、ミートリッテが「嫌です嘘ですお断りです!」と猛反発すれば、神父たっての誘い(此処が重要)を断るとは何事か! と逆ギレしかねません。
だって「神父様命!」状態ですから。
理不尽ですが、前しか見えない人ってのはそんなもんです。
しかも保護者様、匙、投げてましたね。
思いっ切り頭を下げられて、「ごめん。無理。」って幻聴まで聴こえました。
そりゃそうだ。数十人対二人。多勢に無勢なんだから。
まさかの取り巻き攻撃により、未成年の盾……呆気無く崩壊。
「ややや、ちょっ、あ、あのね、みんな! 一旦落ち着……」
「うんー? なぁにー?」
「聴こえ
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