精神の奥底
57 少年の美学
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。
しかし彩斗の端末には現状、ネットナビはいない。
どちらも今、実際に自分の目の前にいるからだ。
「いや、ここいるよ」
「え?」
「……」
「この子だよ。この子、コピーロイドを使ったネットナビなんだ」
「え!?本当ですか!?すごい!全く気づかなかったです!!」
「そう…ですか?」
「少しお人形さんみたいな感じはしましたけど、マネキンっぽいっていうことじゃなくて、童話のお姫様みたいで!どうぞ、こちらへ!」
その時、彩斗は珍しくアイリスは少しうれしそうな顔を浮かべたのを見逃さなかった。
分かっていたとはいえ、アイリスには少なからず人間に対して憧れがある。
そのネットナビでありながら、ネットナビらしからぬ容姿と寸分違わぬ人格プログラム、もはや肉体さえ手に入れば人間と全く同じ存在だった。
「この格好じゃ、この暑さの中で悪目立ちするもんでね」
「あぁ、ですよね!でもナビさんもすごく可愛いから、服も選びようがあって、いろいろ考えちゃいますよね!?」
「まぁ…それなりに。でも最終的には彼女が選んだもので」
「ではこの機械にプラグインして、試着したいチップをここに」
「プラグインできる?」
「うん、やってみる」
案内された試着室の立体映像プロジェクターのようなものにアイリスはプラグインし、コピーロイドは元ののっぺら坊の素体に戻る。
彩斗は魂の抜けたコピーロイドを物珍しそうにまじまじと数秒見ていると、その間にアイリスのプログラムの読み込みが終わり、彩斗とメリーの前に立体映像のアイリスが現れた。
すかさず彩斗はチップを転送する。
するとようやく3人の元へ涼がやって来た。
「うわぁ……本当に変わった」
「アイリスさん、スゴイ!可愛いです!」
「どうだい?気分だけでも少し変わったでしょ?」
「…うん」
「うわぁ!すっごくお似合いですよ!!これならこの炎天下でも大丈夫です!」
アイリスの衣装が薄いワインレッドのブラウスと濃紺のチューリップスカートへと変わった。
衣装の種類も今までアイリスが着ていたゴシックロリィタ系のテイストを含んでいる為に特に違和感は無く、現状のスタイリングを維持したまま、薄くした感じだ。
しかしそれによって軽量感と清涼感を得たのは間違いない。
アイリス自身も不思議と嬉しそうな顔を浮かべている。
「気に入った?」
「えぇ、とても」
「じゃあ、これをいい?他に欲しいものは?」
「良かったら、ぜひ他の商品も試着していって下さい!!」
「とりあえず、街を歩く間を凌げればいいから、これ一着だけで」
「一着だけでいいの?」
「えぇ。それに申し訳なくて」
「そうか。君がいいならそれでいいけど」
「えっ!?こんなに可愛いのに…勿体無い…」
「とりあえずこれでお会計を。この
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