四十三話:挑発
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「彼らは知り過ぎた。それ故に消さなければならなかった」
「まだ遠ざければ何とでもなったはずだッ! ゼストの部下にしても家族を人質に取ればどうにでもできたはずだッ!!」
「生きている限り計画の情報が洩れることもある。ああ、1%でも大勢の人々を危険に晒す可能性があるのなら排除しないとね。だってそれは―――正しいことだから」
自嘲気味に笑いながら切嗣はかつてスカリエッティに語った言葉と似た言葉を吐く。とうの昔に正しいだけでは何も救えないと理解している。絶望的な状況でも奇跡を起こせる存在を知っている。だが、それでも、ある願いを叶えるために間違った選択を選び続ける。
そんな切嗣の姿にレジアスは遂に自分と彼らが全く別の人種だと理解する。否、同じ種だとは思えなかった。―――馬鹿げている。確かに自分も正義を成そうとしてきた。しかし、あくまでも現実的な範囲でだ。幾ら犯罪者が嫌いだと言っても皆殺しにしようなどとは思わない。
だが、彼らは違う。世界中の犯罪者が消えることで過半数以上の人間が救われるのなら愛も憎しみもなく殺し尽くすだろう。そして自分達が最後の犯罪者になれば戸惑うこともなくその心臓を止める。何もない、何も生み出さない。利益などは一切生まれず夢だけが叶う。
「愛する者を踏みにじることを戸惑うようじゃあの脳味噌共の仲間にはなれないよ」
「くっ…!」
俯き拳を握り締めるレジアスにどこか達観したように言葉をかける切嗣。その言葉遣いは今まで敬意を払っていた最高評議会のことを軽蔑するものになりどこか素の彼が滲み出ていた。
「それと……お節介だが、もう少し人を疑うことを覚えた方が良い。身内意識が強すぎるあなたには部下を疑うことなんてできないかもしれないけどね」
「……どういうことだ。地上部隊に貴様ら側の人間が居るとでも言うのか?」
「さあね。ただ、あなたを疑心暗鬼にさせるための罠と思った方がいいかもしれないよ」
最後の言葉を残しホログラムは消え去る。残されたレジアスは様々なことに頭を悩ませ椅子に深く座り込む。そして先程よりも途方に暮れて再び頭を抱えるのだった。
目を覚ますと見知らぬ部屋だった。そう言えば入院した時もこんな目覚めだったなと思いながらスバルは意識を覚醒させる。真っ先に思い出したのは後頭部をナイフの柄で殴られた鈍い痛みだった。そこまで思い出したところで勢いよく起き上がる。
丁寧に掛けられた毛布が剥がれ落ちるが気にしない。体を動かし拘束されていないか確認するがどうやら相手は何もしていないようだ。続いて部屋の中を確認する。医療道具らしきものがいくつか置かれているだけで殺風景。扉は自分の横手に一つ。
デバイスのマッハキャリバーを探すが流石に取り上げられ
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