第44話
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シェラザードは複雑そうな表情で呟いた。
「………事情は特殊ですが、シェラザードさんの推測はある程度当たっていると思われます。調べによるとヘイワーズ一家は昔、危険な相場に手を出して多額の債務を背負って行方を眩ませていたとの事でして………当事者であるレンさんの話から推測すると、借金取りの魔の手からレンさん達を守る為に信頼できる知り合いの方に預けたと思われます。」
「それは………」
「だからレンちゃん、自分と血が繋がっている家族をあんなにも嫌っているんだ……」
「チッ、危険な相場に手を出して借金を背負うなんざ自業自得の上、子供を守る事まで人任せかよ。親として最低じゃねえか。」
(――なるほどね。そこに運悪くあの”事件”に巻き込まれたのね……)
(ここでもあの”教団”が関わってくるとはな……)
エルナンの説明を聞いたクローゼとティータは複雑そうな表情をし、アガットは不愉快そうな表情をし、心当たりがあるアーシアは真剣な表情をし、フレンは厳しい表情で黙り込んでいた。
「で、でも所在地がわかっているって事は借金を返し終えたって事ですよね?それにエルナンさんの話だとレンちゃんは両親を嫌っても、同じ境遇であった妹のユウナちゃんを嫌うのはちょっとおかしいですよね?一体どうして……」
そして話を聞いてある事に気付いたアネラスが不思議そうな表情で尋ねたその時
「その事なのですが………運の悪い事にレンさん達がヘイワーズ一家の知り合いの方達に預けられた際、当時大陸全土で流行っていた大規模な誘拐事件にお二人が巻き込まれたのです。」
(ん?まさか例の”教団”の事件なのかな?)
「!おい、エルナン。そいつを話すのはさすがにまずいんじゃないか?」
ある事件の説明を始めようとしたエルナンの話を聞いたオリビエは目を丸くし、話を聞いて驚いたジンが真剣な表情で忠告した。
「ジンさん?」
「何か知っているのかしら?」
ジンの様子にエステルは首を傾げ、シェラザードは真剣な表情で尋ねた。
「…………………………」
二人に尋ねられたジンは複雑そうな表情で黙り込み
「―――すみません、みなさん。これ以上その事件に関してみなさんに話す事はできないんです。あの事件の秘匿性はとても高く、遊撃士の場合はA級でないと開示されない情報ですので……」
「そっか………」
エルナンの説明を聞いたエステルは疲れた表情で溜息を吐いた。
「―――俺から教えられる事は唯一つ。レン嬢ちゃんと”殲滅天使”の嬢ちゃんは俺達や”結社”が助け出すまで誘拐犯達によってこの世で味わえるとは思えない”地獄”を味わされ、そしてそんな地獄絵図を助け出されるまでずっと見続けていた。
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