外伝〜重剣の追跡〜
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「フフ、自分はただの現場責任者にすぎない……。部下たちの非礼は詫びよう。ここは見逃してもらえないか?」
「はあ?今……なんて言った?」
青年の突拍子のない提案にアガットは一瞬呆けた。
「見逃して貰えないかと言った。こちらとしても遊撃士協会と事を構えたくないのでね。」
「アホか!んな都合のいい話があるか!」
繰り返すように言う青年の言葉をアガットは否定した。そしてアガットの答えに青年は溜息をついて、男達に指示をした。
「やれやれ……悪くない話だと思ったんだが……お前達、ここは自分が食い止める。早く合流地点に向かうがいい。」
「は、はい!」
「感謝いたします、隊長!」
そして男達は走り出した。
「逃がすか、おらあ!」
「…………」
アガットは追うように追撃をかけようとしたが仮面の青年が邪魔をした。
「てめえ……。フン、まあいい。だったら獲物を変えるまでだ。てめえが持ってる情報の方がはるかに重要そうだからな……」
「フフ……。そう簡単に狩れるかな?」
「上等ッ!」
そしてアガットは重剣を、青年は長剣を構えて戦い始めた!
キン!ガン!シャッ!ズドン!
アガットと仮面の青年はしばらく剣を交わしたりそれぞれの攻撃を回避した。
そしてお互い、ある程度の距離を持った。
「フン、やるじゃねぇか。」
「抑えきれない激情を持って鉄魂を振るうか……お前は自分と似たところがある。」
「………………なんだと?」
「己の無力さに打ちのめされた……そんな眼をしているぞ。」
「………クックックッ、いいねぇ。どこの誰かは知らねぇが気にいったぜ………」
アガットは何かを抑えるように笑った。
「自分もお前のような不器用な男は嫌いではない。お互い、このあたりで手打ちということでどうかな?」
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁっ!!黙って聞いてりゃあ知った風な事をほざきやがって!徹底的にぶちのめしてやらぁ!」
「フッ……」
そしてお互いが力を溜めた。
「おおおおおおっ!」
「はああああああっ!」
そして一瞬の刹那、両者が交錯し、仮面の青年が呻いて膝をついた。
「ぐっ……」
「へっ……。口ほどにもないヤツだぜ。ギルドに運んで徹底的に締め上げてやるとするか……」
アガットが青年に近付いたその時、青年の姿が揺らいだ。
「な、何だ?」
そして完全に青年の姿は消えた。その正体に感づいたアガットは信じられない表情で叫んだ。
「こ、これは……分け身のクラフト!?」
そして暗い木々の中から声が聞こえてきた。
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