第五章
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「こっちもね」
「成程な、似合うな」
「それもかなりな」
「それでこのパーティーはその服で楽しむ」
「そうするんだな」
「ただ」
ここでだ、イングリットの妹がだ。
姉の頭を見てだ、こう言った。
「ただ頭は」
「ああ、これね」
「ウエイクじゃない」
その帽子を見ての言葉だ。
「もう結婚したのに」
「そういえばそうだな」
「頭にあるのウエイクだな」
「それは結婚してない娘が被るのに」
「結婚したらタヌだろ」
「何でタヌじゃないんだ?」
「どうしてウエイクなんだ?」
他の参列者達もそのことに気付いて首を傾げさせた、だが。
イングリットはその彼等にだ。微笑んで言った。
「それはこれからね」
「これから?」
「これからっていうと?」
「わかるから」
こう言うのだった。
「今からね」
「っていうと何だ?」
「ウエイクがどうなるんだ?」
「一体」
「それはね」
今度はマルトが言った、そして。
その手にナイトキャップを思わせる形の大きめの赤い帽子を出してきた。柄はこちらも白の花と緑の草だ。
その帽子を見てだ、他の参列者達は言った。
「タヌが出たな」
「そうそう、結婚したらタヌ被らないとな」
「結婚したらタヌを被るのが風習だからな」
「我が国のな」
誰もが納得した、その納得する中でだった。
マルトはイングリットに近付いてだ、そのうえで。
妻の頭からまずはウエイクを外してだった、タヌを被せた。ウエイクは彼が手に持った。
そうしてからだ、妻に微笑んで言った。
「これから宜しくね」
「こちらこそね」
「末永く」
「何時までも」
笑顔で言い合う。その二人を見て二人のそれぞれの家族も言った。
「これで二人は完全に夫婦になったな」
「タヌを被って」
「そして」
「ええ、これから私達はずっと一緒よ」
イングリットもこう言う。
「この人とね」
「よし、じゃあお祝いだ」
「式も無事に終わったしな」
「飲んで食べるか」
「そうしようか」
酒が出されご馳走も並べられた、そしてだった。
マルトとイングリットはパーティーの主役として心から楽しんだ、それはこれまでの恋人同士ではなく夫婦としてだった。二人はこれからのことを楽しみに思いつつそうした。
カイセッド 完
2016・4・28
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