第四章
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「そういうことでね」
「じゃあ結婚式の後は」
「そっちの用意もしてるから」
「そっちも期待していいね」
「ええ、そうしていてね」
「わかったよ、楽しみにしているよ」
マルトは笑ってイングリットに応えた、そしてだった。
彼は家に帰って自分の引越し作業をしてから風呂に入りそうして寝た。イングリットは自分の家で結婚式の用意をした。
そしてその日になってだ、まずは教会で式を挙げた。
二人は式では白いタキシードとウェディングドレスを着た、その式はつつがなく済みその後のお互いの家族が集まってのパーティーとなった。
その時にだ、マルトはタキシード、式の時とは違い黒のそれを着ている。だがイングリットの姿はなかった。
それでマルトの親戚は彼に少し怪訝な顔になって尋ねた。
「奥さん何処に行ったんだ?」
「おめかしか?」
「それでいないのか」
「うん、そうだよ」
微笑んでだ、マルトは彼等に答えた。
「それでいないんだ」
「それでか」
「着替えたりしてるんだな」
「じゃあどんな服で出て来るか」
「楽しみだな」
「うん、僕もね」
実はマルトはイングリットがどの服で出て来るかわかっている、しかし今は誰にも言わない様にしているのだ。そのうえで。
今は待つことを楽しんでいた、そして。
イングリットによく似たドレスの女性、彼女の妹がだ。部屋に来て言ってきた。
「お姉ちゃん、新婦の入場よ」
「おっ、来たか」
「遂にか」
「おでましか」
「いよいよ」
参列者、夫婦の親戚はそれぞれその声に笑顔になった。そして。
イングリットが来たがだ、彼女の姿は。
丈の短い白いブラウスは裾が長めで端がひらひらとしていて赤い波の刺繍も入れられている。袖のところは閉められていて襟は丸い。首のところにはブローチがある。
スカートはくるぶしまであり裾は赤だが殆どの部分は薄緑とダークグリーン、黄色や赤、黒の縦縞となっている。靴は黒で靴下は白だ。
帯は楔型の赤と白、黒の模様が護符の様に並べて彩られていてかなり長く身体の前に垂らしているが膝のところまである。端のところはマフラーの様になっている。
鉢巻に似た帽子は赤く白の花柄と緑の蔦が描かれ二本の帯が肩のところまで垂れている。
その衣装を見てだ、誰もが言った。
「ああ、カイセッドか」
「カイセッドを着てきたんだな」
「民族衣装か」
「このエストニアの」
「そうなの」
そのイングリットもだ、微笑んで答えた。
「それを着てきたの」
「やっぱりそのブラウスいいな」
「カイセッドはな」
カイセッドというのはブラウスの名前だった。
「独特の雰囲気があってな」
「いいな」
「我が国の誇りの一つだな」
「それでスカートもな」
「カイセッドに合わせてそ
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