1部分:第一章
[2/2]
[9]前 最初 [2]次話
ヒーは彼女はブラックで倫子はアメリカンだった。なお同じザッハトルテを食べている。
「一度だけでも」
「何か変態みたいよ」
「変態って。こんなの普通よ」
しかし洋子は笑ってそれを否定するのだった。
「変身と同じよ」
「特撮とかアニメの?」
「メイクアップよ、メイクアップ」
洋子は今度はこう言ってきた。笑いながら。
「お化粧と同じよ」
「本当に軽く考えてるのね」
「服変えるだけじゃない」
倫子が幾ら言ってもこんな感じだった。
「それだけじゃない、本当に」
「私はそうは思わないけれど」
「私も最初はそうだったわ。けれどやってみたら」
「楽しいっていうのね」
「そういうこと。だから」
「やれって?」
「私も一緒よ」
笑顔で誘う。一人ではないというところがミソだった。
「私もね。だったらいいでしょ」
「そうね。そこまで言うのだったら」
根負けした形で彼女の言葉に頷いた。
「一度だけだったらいいわ」
「わかったわ。じゃあ制服は何がいいの?」
「別に何でもいいわよ」
するとは言ったがそこまで考えてはいなかった。そもそも高校の制服といっても色々とあるのでどれがどれかわからない。そんなことまではどうでもいいと考えてもいた。
「何でもね」
「じゃああれね。私が持ってるの貸してあげるわ」
「洋子が持ってるの?サイズは」
「大丈夫よ。ちょっとブカブカなだけだから」
笑って倫子を安心させてきた。
「全然平気よ」
「そうかしら」
「まあとにかくやってみるのね」
「ええ」
倫子は頑固なところがある。一度やると言ったらやるのだ。それは今回もそうだった。ここまで来てやらないということは彼女自身が許せなかったのだ。
「やってみるわ。それでいいのよね」
「じゃあ今度の週末ね」
時間は洋子が決めてきた。
「今はこのままデートを楽しみましょう」
「何がデートよ」
その言葉には憮然として返す。
「彼氏がいない者同士で時間潰してるだけじゃない」
「独身女貴族の優雅な休日よ」
「サッハトルテだけはね」
「それだけでも充分じゃない」
不満げな倫子に対して洋子は実に明るい顔をしている。今も陽気にザッハトルテを食べている。きつい顔立ちだが笑顔はかなり可愛いところがある。まるで大学生の様な。高校生ではない。
[9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ