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女子高生!?
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第一章

                    女子高生!?
「これ案外ね」
「わからないっていうの!?」
「そうなのよ、全然」
 久保長洋子が渡辺倫子に喫茶店で笑いながら話をしている。休日の街のカフェテリアで気持ちよくコーヒーを楽しんでいた。その時に洋子が笑いながら倫子に話しているのだ。
「わからないのよ」
「幾ら何でも信じられないわ」
 しかし倫子はそれを信じようとしない。コーヒーカップを右手に胡散臭いものを見る顔になって洋子の話を聞いていた。
「あんた幾つだかわかってるわよね」
「二十四」
 洋子は正直に答えた。
「もうすぐ二十五よ」
「私もよ」
 二人は同じ歳だ。
「この会社に入ってもう六年ね」
「高校出てすぐだったからね」
 今度は倫子が答えた。
「随分経ってるわよ。七年よ」
「そう、七年ね」
 洋子もそれはわかっているようだった。
「二年か三年でもやばいっていうのに幾ら何でも嘘よ」
「これが案外わからないものよ」
 洋子は笑って倫子に語る。語りながら黄金色のフォークを小さく動かして自分の前に置かれているザッハトルテを食べる。かなり甘いうえにその味は実に上品だ。流石はオーストリアのものである。
「全然ね」
「だから。信じられないわよ」
 首を横に振って口を思いきり歪めたうえで倫子は言う。
「あのね、二十五でいつも地味なOLの服着てる私達が」
「ええ」
 見れば今も二人はズボンで茶色がかったシャツと年相応に地味な服装をしている。化粧もそんな感じだ。アイシャドーに気を使っている。
「それでどうして高校生の制服を着ていけるのよ」
「いけるわよ」
「馬鹿みたい」
 倫子は右手で顎を支えた。そのうえで一言述べた。
「するのもそれでばれないっていうのも」
「それが結構楽しいし」
「とてもそうは思えないけれど」
「それが素人の浅はかさよ」
 けれど洋子はまだ言うのだった。
「普段の自分と違う格好でそういうのもするのって気分転換になるわよ」
「気分転換に!?」
「そうよ、つまりは変身よ」
 今度はこう倫子に言うのだった。
「私でもいけるんだし」
「洋子でも」
 洋子は背が高くしかも少しきつめで大人そのものの顔をしている。厳しそうな目と黒い髪が如何にもできる女といった印象を与える。実際に仕事はかなりできる女だ。
 それに対して倫子は仕事はそこそこで小柄、茶色っぽい地毛をショートにしている。目は穏やかで口が少し大きい。はっきり言えば童顔でもある。
「倫子だったら余計にいけるわよ」
「二十四で絶対無理でしょ」
「そんなに言うのだったらやってみたら?」
 何度も否定する倫子に業を煮やしたのか。こう言ってきた。チョコレートの後はコーヒーを飲んで少し口直しをしながら。コー
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