〜白き花のマドリガル〜前篇
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(フム、大したものだ。時代考証もしっかりしている。最初、男女の役が逆と聞いていかがなものかと思いましたがな。)
(ふふ、生徒たち全員の努力のたまものでしょうな。それと協力をしてくれた若き遊撃士たちの……)
ダルモアの評価する言葉にコリンズは微笑みながら頷いた。そして舞台はオスカー一人の場面になった。
「流血の革命だけは起こさせるわけにはいかない……。ユリウスもセシリア様も死なせるわけにはいかない……。自分は……いったいどうしたらいいんだ。」
悩むオスカーのところに酔っ払いが現れた。
「ういっく……。ううう……だめだ……気持ち悪い……」
「おっと、大丈夫か?あまり飲み過ぎるものではないな。いくら春とはいえこんな所で寝たら風邪を引くぞ。」
「うう……親切な騎士様……どうもありがとうごぜえますだ。」
「騎士様はやめてくれ……。自分は大した人物ではない。何をすべきかも判らずに道に迷うだけの未熟者だ……」
酔っ払いの感謝の言葉にオスカーは暗い表情で答えた。
「まったくその通りだな。」
「なに?」
その時、酔っ払いがオスカーの腕をナイフで切った。
「くっ、利き腕が……」
オスカーは切られた腕を抑えて一歩下がった。
「けけけ……。こいつには痺れ薬が塗ってある。大人しく観念してもらおうか。」
「貴様……。何者かに雇われた刺客か!?」
「あんたが目障りというさる高貴な方のご命令でなぁ。前払いも気前が良かったし、てめぇには死んでもらうぜっ!」
(なーるほど……。なかなか見せてくれるじゃねえの。となるとこの次の展開は……。……いかんいかん。危うく仕事を忘れるとこだったぜ。)
劇を見ていたナイアルは生徒達の演技や話の作りの上手さに感心した後、ある人物の監視を続けた。さらに舞台は変わりユリウスのセシリアへの求婚の場面に写った。
「久しぶりですね、姫。」
「ユリウス……。本当に久しぶりです……。今日は……オスカーと一緒ではないのですね。お父様がご存命だったころ……宮廷であなた達が談笑するさまは侍女たちの憧れの的でしたのに。」
「……姫もご存じのように王国は存亡の危機を迎えています。私と彼が親しくすることは最早、かなわぬものかと……」
「…………………………………………」
ユリウスの言葉にセシリアは目を伏せた。
「今日は姫に、あることをお願いしたく参上しました。」
「お願い……ですか?」
「私とオスカー……。近衛騎士団長と若き猛将との決闘を許していただきたいのです。そして勝者には……姫の夫たる幸運をお与えください。」
「!!!」
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