第52話
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、ほとんど無かったじゃない?」
自分を称えるクロ―ゼやプリネの言葉にエステルは照れた後、言った。
「私はずいぶん前から台本に目を通していましたから。」
「私の場合は主役のお二人と違ってセリフの数は少なかったですから、なんとかすぐに覚えられただけです。」
「そんな……謙遜する事ないですよ。それより色々と稽古をつけてくれてありがとうございました、プリネさん。お陰でエステルさんの動きに付いていけそうです。」
「ふふ、私は少し助言しただけですよ。クローゼさんは基本がしっかりしていましたから。」
「うんうん!その気になれば、いつでも遊撃士資格を取れると思うよ?」
「ふふ、おだてないで下さい。」
プリネとエステルの言葉にクロ―ゼは照れた。そして3人は椅子が並べられた講堂を見渡した。
「いよいよ、明日は本番ですね。テレサ先生とあの子たち、楽しんでくれるでしょうか……」
「ふふ、本当に院長先生たちを大切に思ってるんだ……。まるで本当の家族みたい。」
「ええ、まるでテレサさん先生とは本当の親子のように見えましたし、子供達の本当の姉にも見えましたしね。」
「………………………………」
エステルとプリネの言葉にクロ―ゼは突然黙った。
「あ、ゴメン。変なこと言っちゃった?」
「いえ……。エステルさんとプリネさんの言う通りです。家族というものの大切さは先生たちから教わりました……。私、生まれて間もない時に両親を亡くしていますから。」
「え……」
「……………」
クローゼの言葉にエステルは驚き、プリネは真面目な表情に直して黙った。
「裕福な親戚に引き取られて何不自由ない生活でしたが……家族がどういうものなのか私はまったく知りませんでした。10年前のあの日……先生たちに会うまでは。」
「10年前……。まさか『百日戦役』の時?」
「はい、あの時ちょうどルーアンに来ていたんです。エレボニア帝国軍から逃れる最中に知っている人ともはぐれて……。テレサ先生と、旦那さんのジョセフさんに保護されました。」
「そうだったのですか………」
「戦争が終わって、迎えが来るまでのたった数ヶ月のことでしたけど……。テレサ先生とおじさんは本当にとても良くしてくれて……。その時、初めて知ったんです。お父さんとお母さんがどういう感じの人たちなのかを。家族が暮らす家というのがどんなに暖かいものなのかを……」
「クローゼ……」
「………………」
昔を懐かしむように語るクロ―ゼにエステルは何も言えず、リウイとペテレーネ、リフィア達に愛されて育っても、後継者がいながら初代皇帝の娘である自分がいれば本当なら後継者争いが起こ
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