外伝〜動き始めた運命〜前篇
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きたよ。」
花束を墓石の前に置いた。
「お、おーい……。どこ行っちゃったのさぁ!?」
その時、少女の声が聞こえて来た。すると少女は同行者達と共に、少年を見つけた。
「よかった……ここにいたんだ。」
少女――かつてボース市でハイジャック事件を起こし、リベール軍に拘束されたはずの空賊の一人―――ジョゼット・カプアが少年を見つけて安堵の溜息を吐いた。
「もう、ビックリさせないでよ!1人でさっさと奥に行くんだもん。」
「ふう……どうして来たんだ。個人的な用事だから付き合う必要はないと言ったはずだよ。」
「か、可愛くないヤツ!人がせっかく心配して探しに来てやったのにさ!」
自分が心配して口にした言葉を一蹴した少年――――ヨシュアの答えを聞いたジョゼットはヨシュアを睨んだ。
「それにこの有様は興味を持つなって方が無理さ。見たところ、廃墟になったのはここ10年くらいの間みたいだな。」
「俺たちは3年前まで北部の領地に住んでいたが……。南部が廃村になったなんて今まで聞いたことがなかったぞ。何ていう名前の村だったんだ?」
その時ジョゼットの兄達であり、空賊―――”カプア一家”を率いるキール・カプアとドルン・カプアはそれぞれ廃村となった廃墟を見回して尋ねた。
「………………………………。……『ハーメル』。かつてそう呼ばれていた村さ。」
二人の疑問にヨシュアはしばらく言うのを戸惑ったが、ジョゼット達に背中を向けて言った。
「ハーメル……。聞いたことのない名前かも。キール兄、知ってる?」
「いや……。俺も聞いたことがないな。兄貴はどうだい?」
「んー、待てよ……。かなり前に、帝国政府から何かの通達があったような……。……駄目だ、思い出せねえ。」
「なんだよ〜、それ。」
ジョゼット達の会話に入らず黙り込んでいたヨシュアはやがて振り向いて口を開いた。
「……僕の用事は終わりだ。貴方たちには関係ないのに付き合わせて済まなかったね。」
「別にそれはいいんだけどさ……。アンタ、最初に会った時と態度が違いすぎるんじゃない?ボクたちを舐めてるわけ?」
ジョゼットは以前の優しい少年であったヨシュアの態度を思い出し、ヨシュアを睨みながら尋ねた。
「……君にそんなことを言われる筋合いはないな。最初に会った時、ずいぶん堂に入った演技をしてくれたじゃないか。僕の態度もそれと同じさ。」
「うっ……。そ、それじゃあそれがアンタの本性ってわけかよ!?」
しかしヨシュアに図星を突かれると焦った様子で反論し
「ふう……何だか知らんが色々と事情があるみたいだな。まあ、本性を出してくれた方がこちらとして
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