第31話
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酷いよ〜、レンちゃ〜ん。気付いていたのなら、言ってくれたらよかったのに……」
レンだけ既に気付いていた事に驚いた二人はそれぞれ恨みがましそうな視線でレンを見つめた。
「ハハ、昨日の事と言い、相変わらず恐ろしい娘だねえ。」
「ああ、視界を煙に遮られていたにも関わらず俺達の位置を完全に把握して反撃したしなあ。あれには驚かされたぜ。」
レンの答えを聞いたカルナとグラッツはそれぞれ苦笑いをし
「レン君の言う通り、君達に危機的状況を体験させ、どのような判断をするのかを見るのが狙いだからね。ちなみに言っておくが……本物の猟兵はこんなに甘くないぞ。」
カルナ達と共に苦笑いをしながらクルツは説明し、やがて表情を引き締めてエステル達を見つめた。
「うっ……」
「あう……」
「……………」
クルツの警告にエステルとアネラスは肩を落とし、二人の様子を見たレンは茶化さず真剣な表情で黙り込んでいた。
「リベールでは猟兵団の運用は禁止されているからあまり想像できないだろうけど……。他の国じゃ、遊撃士協会と猟兵団の対立は日常茶飯事なのさ。自然と、遊撃士たちも危機的状況に備える者が多い。」
「だから、リベールの遊撃士にも一度は危機的状況を体験して欲しい。そんな親心の現れだと思ってくれや。」
「はあ……ずるいなぁ。そんな風に言われたら文句言いたくても言えないわよ。」
「うんうん、ずるいよね。」
「うふふ、だからパパ達はこの訓練場に来るように言ったのね♪」
「あらあら。もう終わっちゃったのかしら?」
先輩遊撃士達の言葉を聞いたエステル達が答えると扉の外から管理人が姿を現した。
「あ、管理人さん!」
「む〜、管理人さんもグルだったんですね?」
「あん、グルなんて言わないで。お芝居っていうから私も一生懸命、台詞を覚えたのよ?うふふ、迫真の演技だったでしょ♪」
驚いているエステルとアネラスに管理人は悪びれも無く呑気に答え
「うふふ、確かに”本番”と見間違えてもおかしくない程の役者っぷりだったわよ♪」
レンは小悪魔な笑みを浮かべて管理人を見つめた。
「はっはっはっ。3人ともお疲れさん!」
「あ〜、嘘つきな人だ!」
「結局のところ、全員がグルだったわけね。あ、それじゃあ、宿舎の通信器って……」
そして整備士がエステル達の背後から現れるとアネラスは整備士を睨み、エステルは宿舎を調べた際、壊されていた通信器の事を思い出した。
「うん、あれはジャンクパーツさ。本物の通信器は、別の場所に保管してあるから心配いらないよ。本当は、僕も最後まで人質として出てこない予定だったけど……君たちが、新型オ
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