第2章〜白き花のマドリガル〜 第37話
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テルの身体から光の玉として出て来た後、自分の体を覆うような炎を纏いながら炎の中から出て来た。
「これからよろしくね、サエラブ!」
(この我が契約してやったのだ。我が失望せぬよう精進するがよい。)
「相変わらずえらそうね〜……まあいいわ。ねえ、もしかしてあたし、あなたと契約したから炎の魔術が使えるの?」
サエラブの念話に苦笑したエステルはある事に気付きサエラブに尋ねた。
(我は炎の属性を司る幻獣。我と契約した影響は出て当然だ。試しにお前なりの炎を浮かべて放つがよい。)
「わかったわ。………えい!」
エステルはサエラブと共に戦った時、サエラブが口から吐いた火の玉を思い浮かべ片手を前に突き出した。すると突き出した片手から拳ほどの火の玉が出て来て、近くの大きな石に当たって消えた。
「ほう……火炎魔術の初級魔術の”火弾”だな。」
リフィアはエステルが放った火の玉を見て、感心して呟いた。
「凄いな……思い浮かべるだけで新しい魔術が出来るなんて……エステルの野生のカンは本当に驚かされるよ……」
「し、しっつれいね〜……でもいいわ。新しい属性の魔術も使えるようになったし!」
感心して呟いたヨシュアにエステルは白目で睨んだ後、喜んだ。そこにプリネが真面目な表情で話しかけた。
「喜んでいるところ悪いんですが……エステルさん、火炎魔術は細心の注意を払って使って下さい。私も魔力で武器に炎を宿す技を持っているからわかるんですが……炎はこの世に留まり続けている邪霊や不死の者達を焼き払い、自然界の属性魔術の中で最も威力が高いのですが、使い方を間違えれば周囲の人達に甚大な被害を与えてしまう恐ろしい属性でもあります。」
「……そう言えばシェラさんも言ってたね。アーツの属性の中で最も気を付けなければならないのは”火”のアーツだって。」
「あ……そっか。使い方を間違ったら火事にもなるし、加減を間違えたら相手に大火傷させてしまうものね……」
プリネとヨシュアの説明に納得したエステルは魔術を放つ両手を見た。
(……炎の扱いは我がいるから、無理してお前が使う必要はないぞ。)
「ううん……絶対使いこなして見せるわ。魔術が使えるとわかったその時に父さんに言われたの。『得てしまった力は間違った方向に使わなければ、心強い力になる。』って。だからあたしに宿った炎の力も正しいことに使ってみせるわ!」
(フッ……その意気だ。我が炎を見事使いこなせるか、見守らせてもらうぞ……)
「うん!」
こうしてエステルは新たな仲間と力を手に入れ、そして次の目的地ルーアンに向かってヨシュアやプリネ達と共に歩き出した………
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