第二部
狩るということ
じゅうよん
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そこまで確認した私は立体映像を一度切り、医療ポットをオフにする。取り合えず、この医療ポットを船に運び入れなければならない。
側面を軽く叩き、爪先で底面を蹴る。
……なかなか頑丈なようでなにより。
一度腕に力を込めて持ち上げると、思ったよりも簡単に持ち上がった。
「このまま戻るか」
下手に身動きが取れないこの状態で襲われそうになったら、このカプセルでぶん殴ってやるつもりだ。
それだけの耐久力は持ち合わせているだろ。
……恐らく。
私は運搬クエストの如く、それなりに駆け足で船へと踵を返した。
―
無事に何事もなく船へと医療ポットを運び終えた私は、早速この医療ポットのマニュアルを浮き上がらせて、各種操作を確認していく。
「バカな……」
読み始めてものの数秒で、私は地に膝をつく。
そのマニュアルの1ページ目に該当する箇所を、私は震える指でなぞる。
『医療ポットの移動に際し、極々限定的な反重力場をポット底部より発生させ、浮力を得ることが可能となっており、本体を押す、あるいは引くことで医療ポットを施術中でも悪路を気にせず、安定して簡単に移動させることが可能です』
や、やられた。
まさかのハイテク機能搭載ときた。
「くぅ……」
しかし、こんなところで躓いている訳にはいかない。
このポットが人間用で、尚且つこんなタイトなスケジュール感の中で私の元に彼らが送り込んだということは、きっと近い将来これが必要になることが起きる筈だ。
崩れ落ちそうになる膝に力を込め、私はマニュアルを読み進めていく。
「コンピューターガントレットで遠隔操作可能ね」
私は左腕のコンピューターガントレットを操作して、医療ポットとの同期化を始める。
私の動体視力を持ってしても、読み解くことが不可能なスピードでディスプレイ内の文字が流れていく。まあ、私には分からないコードの羅列なので、これは黙って待っているのが無難であろう。
そう言えばと、手持ち無沙汰な私は、エリステインを含めた騎士団の動向が気になり空いている端末を操作し、ディスプレイに浮かび上がらせる。
ほとんど動くことのない紅点を眺め、違和感を覚える。
そんなに長い時間、私は意識を落としていないことは分かっているのだが、それにしてもあまりにも動きがない。むしろ、既にこの場から移動していてもおかしくないほどの時間は経過しているはずだ。
ふと、一つだけその一団から離れて行く紅点に気付き、サーチを開始する。
地球風に言えば、『Unknown』といえば分かりやすいだろうか。この星に落ちてから収集したデータのそのどれにも当てはまらず、結果、照合して表示
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