外伝〜去りゆく決意〜
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でずっと君たちを裏切り続けていたことも。」
「!?」
「男の子は本当の意味で救いようがない存在だった。そこにいるだけで不幸と災厄をもたらすような……。そんな、穢れた存在だったんだ。」
「………………………………」
ヨシュアの話をエステルは呆然とした様子で聞き続け
「だから……男の子は旅立つことにした。幸せな夢を見せてくれた人たちをこれ以上、巻き込まないために。自分という存在を造った悪い魔法使いを止めるために。」
「え……?」
ヨシュアはエステルに近づき、自分がいつも大切にしていた黄金色のハーモニカをエステルの手に握らせた。
「それは、僕が人間らしい心を最後に持っていた時のものだ。もう必要ないものだから……。だから……君に受け取ってほしい。この5年間のお礼にはとてもならないだろうけど……。何も無いよりはマシだと思うんだ。」
「………………………………。…………かげんにしなさいよ」
エステルはヨシュアを睨みつけた後、顔を下に向け小さな声で呟き始めた。
「え……?」
「いい加減にしなさいっての!」
エステルは下に向けた顔をあげると、ヨシュアに近付き怒鳴った。
「夢なんて言わないでよ……っ!まるで……今までのことが本当じゃなかったみたいじゃない!過去がなんだっていうの!?心が壊れてる!?それがどーしたっていうのよ!?」
「エステル……」
悲しみを抑えて必死に笑顔で自分を止めようとするエステルを見てヨシュアは目を伏せた。
「あたしを見て!あたしの目を見てよ!ずっと……その男の子を見てきたわ!良い所も悪い所も知ってる!男の子が、何かに苦しみながら必死に頑張ってたってことも知ってる!そんなヨシュアのことをあたしは好きになったんだから!」
「!!!」
そしてエステルの口から出たずっと自分が望んでいた言葉を聞いたヨシュアは目を見開いた。
「一人で行くなんてダメだからね!あたしを、あたしの気持ちを置き去りにして消えちゃうなんて!そんなの、絶対に許さないんだからあっ!………うっ………うう………」
「……エステル……。………………………………」
涙を流し始めたエステルにヨシュアは何を思ったか、エステルの肩に手を乗せた。
「え……?」
そしてヨシュアはエステルに口づけをした。
「……あ………………。(……ヨシュア……)」
待ち望んでいた初恋の少年との口づけにエステルはされるがままになっていたが、口に違和感を感じヨシュアから離れた。
「なに今の……!口の中に流れて……」
「……即効性のある睡眠誘導剤だよ。副作用はないから安心して。」
「あ……」
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