第3話 和菓子屋さんの看板姉妹
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「そうだよ〜言ってなかったかな?」
言ってませんよ!と、強めの口調で言われたから頑張って思い出そうとするけどちょっとめんどくさいので「そういえばそうだね。」と言って適当に流した。
僕はよくおっとりマイペースな奴とか言われるけど、たまにめんどくさいと思っちゃう男の子なのである。
携帯を開けて時計を確認する。さっき出ようとしてから10分は経ってる。流石に帰らないと...
「ゴメンね雪穂ちゃん。本当にそろそろ帰らないと花陽ちゃんのお母さんに心配かけちゃうし、僕も妹が待ってるから...」
「え〜っ!?も、もう帰っちゃうんですか?」
雪穂も先輩同様の表情で落ち込む。姉妹ってこうも似るもんなんだなぁ〜と、呑気に考えながらドアに手をかける。
「また今度来たらお邪魔するって高坂先輩に伝えてあるから、その時にゆっくりお話ししよ?」
「え!?ほんとですか!絶対ですよ!やったぁ〜楽しみ〜♪」
「もうゆきほちょっと落ち着いて。じゃあはるとくん、気をつけて帰るんだよ〜」
「ほら、花陽帰ろ?」
僕と花陽が外に出ると二人はわざわざ玄関から出てくる。二人の見送りを受けながら僕たちは軽く頭を下げてすこし肌寒い夜の町を二人並んで歩き出す。
..........そう言えば結局雪穂ちゃんの進路聞くの忘れたけど....まぁ、いいか♪
道中、手を繋いだままの僕たちはさっき高坂先輩から頂いたおまけの袋を開けて花陽に差し出す。
「はい、花陽ちゃんもどうぞ。」
「わぁ、ありがとう♪」
お饅頭の真ん中に『ほ』と書かれた名物お饅頭をパクリと一口食べる。しばらくもきゅもきゅと口を動かし、飲み込んでから
「...うん、すごくおいしいね」
と、優しく笑う。それにつられて僕も一口。
「......そうだね。やっぱりおいしい。」
餡子ぎっしりで飽きのこない甘さの穂むら饅頭を口に頬張りながらの食べ歩き。”穂むら”から家に着くまでのいつもの道を僕は中学の時『穂むらロード』と名付け、一日の終わりにちょっとした幸せを感じられる僕だけの楽しみ。それを今日は大好きな花陽と一緒に食べ歩きができるのも新たな幸せ。ここに凛もいたら、もっと幸せを感じられるのかもしれない。
「僕ね、実はこの道に名前を付けてるんだよ」
「え?どんな名前なの?」
「それは『穂むらロード』っていうんだよ。穂むら饅頭を食べながら帰宅までのひと時が幸せになる道。そんな意味を込めて中学の時に名付けたんだぁ〜」
「うわぁ...!すごいね春人くん。なんか私まで幸せを感じちゃう。」
「この道で饅頭食べる
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