第3話 和菓子屋さんの看板姉妹
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やってしまったとばかりに舌をペロッと出して誤魔化すけど、雪穂の不憫さにちょっとばかりかわいそうな気持ちになる。これを雪穂ちゃんに言ったら高坂先輩とっても怒られるんだろうなぁ...と、思いながら僕は「あ、はは...」と、苦笑いと雪穂へ同情の意を送る。
「...流石春人くんだね。」
「流石?何が?」
雪穂が現れてからずっと無言だった花陽が漸く言葉を発する。
「だって私の知らないところでいろんな子から好かれているんだもん。ちょっと妬けちゃうなぁ...」
「あ、でもそれを僕に言われても...」
今回は間違いなく妬いている花陽は拗ねた感じで呟く。
僕は何も悪くないのに女の子絡みの話になると花陽も凛もいつも拗ねるから困る。だけど拗ねる理由もわからなくもないから弁解したくてもできない。だから拗ねたときの対処法としてしばらく放っておくか、二人を褒めると沈静化する。ということを最近知った。
「でも大丈夫。そんな春人くんも私は...す、好きだから」
「え?あ、ありがとう...?」
と、考えていた矢先に花陽がモジモジとそう言うからなんか僕も恥ずかしくなってくる。
「ゆーきほ〜!!なにしてるのぉ〜!早くしないとはるとくん帰っちゃうよ〜っ!!」
『ま、待ってお姉ちゃん!今行くから〜!』
甘い雰囲気を漂わせる僕たちを他所に廊下に向けられた先輩の声が店全体に響く。遅れて奥から雪穂の焦燥の声が聞こえて、トントンタンという階段を下りる足音を鳴らして服を着替えた彼女が現れた。
赤いフレームの眼鏡を付けて知的さを感じさせ、小悪魔っぽいイラストが左側にプリントされた藍色のパーカーにジーンズを履いていて、さっきまでの無防備姿の雪穂も可愛いけどこういった年相応の私服姿もいつもと違った彼女の魅力も再発見できていいと思う。
「こ、こんばんは春人さん。さっきはお見苦しいところを見せてしまってすいません...」
「ううん、気にしないでいいよ♪雪穂ちゃんの意外な服装も見れたし。」
「ち、違いますよ!あれは...その...楽な格好だったから...」
「うんうん♪そういうのあるよね。僕も家にいるときは薄着だから」
雪穂は照れながらも会話をとても楽しんでいる。そんな爛々とした妹と対照に姉の高坂先輩は「なんかいつものゆきほじゃない」と驚愕を露わにしている。
「ところで、その...後ろの方は?」
雪穂は花陽に視線を向けて問いかける。
「こ、小泉花陽です...えっと、春人くんの幼馴染、です。」
「お、おお...春人さん幼馴染いたんですね...」
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