第3話 和菓子屋さんの看板姉妹
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らしい。ニヤニヤしていた理由はどうあれ、確かに女の子の前でニヤニヤ顔は良くないね。
「先輩、お気持ちは嬉しいですけど、もう辺りも暗いですし花陽ちゃんも送っていきたいですので今日のところはこのへんで...」
「えぇ〜そんなぁ〜...。私はるとくんともっとお話ししたいよ〜。ゆきほもはるとくんと遊びたいってこの前言ってたのに......」
「そうなんですかぁ。でも本当にすいません」
「えぇ〜!?」と、高坂先輩の心底残念そうな落ち込み具合に心が痛む決断だったけど、時間も時間なので穂むら饅頭の代金を支払う。
今、高坂先輩の口から零れた雪穂というのは先輩の妹の名前だ。僕の一つ下の女の子で今年から高校受験という大変な時期になる。初めて穂むらを訪れたときに店番をしていたのが当時まだ小学六年生の雪穂で『小学生なのにすごくしっかりしてる子だなぁ〜』と感心したことがある。
姉の高坂先輩が天真爛漫な性格で、妹の雪穂は温和勤勉な性格という正反対なのに仲の良い姉妹は彼女たちくらいじゃないだろうかな?
──────そういえば雪穂ちゃんはどこを受験するつもりなのかなぁ...?
少し関わりがある以上ちょっとは気になってしまう。
だけど......
ちらりと花陽を見る。
「......」
「...?」
...うん、今日は帰ろう。
暗いから雪穂の進路については後日日を改めて聞くとして目的の物も買えたことでここに残る理由もないし...。
高坂先輩はスリッパの音を立てながらお金をレジまで持っていき、丁度受け取れたことを確認して「ありがとうございました!」とチェーン店の店員顔負けスマイルで僕たちをおくりだす。
「じゃあ、帰ろっか?」
「っ!うん!」
さっきまで気まずそうにしていた花陽は喜色満面に浮かべてずっと繋ぎっぱなしの手をさらに強く握る。
その時、
「おねーちゃ〜ん!お母さんが呼んでたよ〜」
「え?」
店の奥から高坂先輩似の眼鏡をかけた少女がやってきた。先輩より身長が低く、ショートヘアに白い薄着に青のショートパンツというラフな普段着がよく似合うこの子こそ、さっき噂してた高坂雪穂本人だ。
雪穂は僕たちがいることを知らないのか、普段の口調で姉である高坂先輩に要件を伝える。
「お姉ちゃん先月の精算表また書き間違えたでしょ。全然貸借一致してなかったからね!お母さんカンカンだよ?」
「あ、あはは〜ごめんごめん。ああいう細かい作業するのが苦手で...」
「もうしっかりしてよね?私までお小遣い減らされそうなんだから〜」
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