第3話 和菓子屋さんの看板姉妹
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!危なかったねはるとくん、もうすぐ店じまいするところだったよ。」
花陽に質問しながら割烹着を脱いでる時点でなんとなくそんな気がしてた。今日の決済や店の掃除とかで忙しい時に来ちゃって申し訳ないなと思いつつも、お饅頭を買って帰らないと妹に叱られる僕がいる。
高坂先輩が”穂むら”名物”穂むら饅頭”を一箱分詰めて紙袋に丁寧に入れるその姿は、やはり長年手伝いをしているせいかとても様になっていてカッコいいと思う。
「......」
「もうすこし待っててね。お金払ったら帰るから。」
「...うん、ごめんね春人くん」
完全に委縮しちゃった花陽を撫でながらしばらく待つ。
ブレザーを脱いだ音ノ木坂の制服姿の高坂先輩は紙袋と小さな箱を持ってやってくる。
「はい!こちらが”穂むまん”です!おまけとして二人分のもあるから仲良く食べてね♪」
「ありがとうございます。でもいいんですか?僕、二人分も払うお金持ってないですよ」
「大丈夫大丈夫!はるとくんにはいつも贔屓にしてもらってるからね〜。お母さんも『春人くんに〜』って言えば許してくれるよ♪」
高坂先輩は妹へのお土産と僕達へのおまけを渡し、
「ねぇねぇ今から私の部屋に来ない?すこし遊ぼうよ!」
....やっぱりこの先輩はいきなりすぎてすごい人だなぁ......
多分これが高坂先輩の良いところだ、と思う。
持ち前の太陽のような笑顔で相手も笑顔にさせ、人々を引き付ける女の子。優しくてあったかくて、子犬のような可愛い先輩はたまに見せる甘えっぷりに実は僕もドキドキさせられたりする。自覚はあるけど女の子からの好意に鈍い僕だから高坂先輩の行動が狙ってしているのか、それとも素でしているのかわからない。初めてここを訪れた時もそうだった......
直後、左手に鋭い痛みが走る。
「い、いたいです花陽ちゃん。」
「......駄目だよ春人くん」
僕の左手を抓った犯人、花陽は小さく僕にしか聞こえない声量でそう注意し、両頬をぷく〜っと膨らませ、尚且つ上目遣いで少し怒っていた。......いや、嫉妬していた。
僕の思考が読まれたのかな?僕の幼馴染はいつからそんな超人じみた能力を得たのか気になるけど、
「.....いくら可愛い先輩に家にお誘いされたからってそんなニヤニヤな顔してたら恥ずかしいよ?」
「...え?あ、うん。ごめん。」
...花陽を超人扱いしてしまったことが恥ずかしい。
僕の思考を読んだわけではなかった。花陽は高坂先輩のお誘いに僕がニヤニヤしていたと思っているらしく、それで抓っていた
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