第25話
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起こすことはできない……」
エステルの想いは届かず、リシャール大佐は悲痛そうな表情で否定した。
「だから私は、情報部を作った。諜報戦で他国に一歩先んじることもそうだが……あらゆる情報網を駆使してリベールに決定的な力を与えられるものを探したのだよ。リベールが苦境に陥った時にふたたび奇跡を起こせるようにね。」
「それって……奇跡なのかな?」
「なに……?」
「えっと、あたしたちは遊撃士でみんなの大切なものを守るのがお仕事だけど……。でも、守るといってもただ一方的に守るだけじゃない。どちらかというと、みんなの守りたいという気持ちを一緒に支えてあげるという感じなの。」
「それが……どうしたのかね?」
エステルが突如口にした話に理解できないリシャール大佐は眉を顰めて尋ね
「父さんだって、別に1人で帝国軍をやっつけたわけじゃない。色々な人と助け合いながら必死に国を守ろうとしたんでしょ?みんながお互いを支え合ったから結果的に、戦争は終わってくれた。大佐だってその1人だったのよね?」
「………………………………」
「今、あたしたちがここにいる事だって同じだと思う。大佐の陰謀を知った時はかなり途方に暮れちゃったけど……。それでも、色々な人に助けられながらここまでたどり着くことができたわ。それだって、奇跡だと思わない?」
「………………………………」
エステルが次々と口にする正論に驚き、目を見開いて黙っていた。
「でも……それは奇跡でも何でもなくて……。あたしたちが普通に持っている可能性なんじゃないかって思うの。もし、これから先、戦争みたいなことが起こっても……。みんながお互いに支え合えれば何でも切り抜けられる気がする。わけの分からない古代の力よりそっちの方が確実よ、絶対に!」
「エステル………」
「ああ………俺達は俺達の力で未来を切り開いていくんだ!」
「みんなと協力して行くことが一番、です。」
太陽のような笑顔を浮かべるエステルの言葉にヨシュアは微笑み、フレンは口元に笑みを浮かべて頷き、アリエッタは静かな表情で頷き
「フッ、16歳でまさかこれ程の”器”とは。さすがはあのカシウスの娘と言った所か。お前も少しは見習ったらどうだ?」
「うっせ!余計なお世話だよ!」
バダックはエステルの”器”に感心した後からかいの意味も込めて口元に笑みを浮かべてルークに視線を向け、視線を向けられたルークは声を上げてバダックを睨んだ。
「フフ……強いな、君は。だが皆が皆、君のように強くなれるわけではないのだよ。目の前にある強大な力……。その誘惑に抗うことは難しい。そして私は、この時にために今まで周到に準備を進めて
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