3部分:第三章
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第三章
「何だありゃ」
「バラエティの撮影か?」
「アダルトビデオじゃないのか?」
皆彼を怪訝な目で見ながらひそひそと話をしている。しかも彼は黒革の靴と黒ナイロンの靴下、それに傷だらけの身体に全く処理をしていない毛である。異様というレベルではない。
「今時ブリーフってなあ」
「しかも白かよ」
誰もが自然とその下着に目をやってしまっていた。
「おまけにあれってよ」
「黄ばんですし」
「しかも後ろは」
昨夜はコートでわからなかった後ろの部分も皆から見られていた。
「茶色くなってねえか?」
「筋が幾つもあるな」
尻の辺りに茶色い染みが幾条もあるのだった。
「あれって間違いなくな」
「拭き忘れだよな」
しかもそれだけではなかった。丁度十二時になった。すると男は。
「時間か」
左手にしてあった腕時計を見た。そうして何とブリーフの前の部分に右手を突っ込んだ。皆それを見てさらにドン引きしてしまった。
そしてそこからお握りを出してきて頬張りはじめた。勿論黄ばんでいるブリーフの中に入れて洗っていない手である。その手でお握りを握って口の中に入れたのである。
そしてお握りを食べるとまたもう一個出してきて食べる。他にはハンバーグも出して食べている。それからバナナも出して食べた。食べ終えると彼は言うのだった。
「エネルギーの補給は終わった」
そうしてそのまま歩いていくのだった。その彼に近寄る者は誰もいなかった。ただ呆然とその歩く姿を見送るだけであった。
その頃東京都心のあるホテルにて。一人のやたら人相の悪い男がロイヤルスイートにいた。そしてその豪奢な部屋の中で誰かに電話をしていた。
「ああ、上手くいっているぞ」
「そうか、順調か」
「万事においてな」
楽しそうに笑って電話の向こうの話し相手に述べていた。
「上手くいっている。確かに日本の警察は五月蝿いが」
「何とかなるか」
「なるな。だからこちらは任せてくれ」
「そうか。それではな」
「うむ。そしてだ」
ここで彼は話題を変えてきた。
「今日本にいるからな」
「それがどうかしたのか?」
「少し。楽しみがある」
こう言って笑ってきたのだった。
「和食をな。食べたい」
「和食をか」
「それで今ホテルにルームサービスで注文した」
こう話すのだった。
「どうだ?いいか?」
「好きにしろ」
それに対する返答はしれっとしたものだった。
「好きにな。食べたければ食べろ」
「何だ、つれないな」
「当たり前だ。他人の食べ物にまであれこれ言う趣味はない」
彼に返した言葉はこれであった。
「何でも好きなものを食べろ」
「そうか」
「それはそうとだ。何を頼んだのだ?」
しかしそれでもメニューは尋ねるのだった。
「和
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