2部分:第二章
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てくれる」
「それが彼なんですか」
「そうだ、それがブリーフ13」
そしてまたこの名前を出すのであった。
「彼なのだよ」
「しかし。あの姿は」
「気にするな」
年配の男は彼の姿についてはこう言うのみだった。
「あれが彼のポリシーなのだ」
「ポリシーですか、あれが」
ここでまたあのコートの下のネクタイと白ブリーフだけの格好を思い出す。しかも傷やら毛やらがやたら見えるその姿をだ。尚且つブリーフから毛がこれでもかとはみ出ていておまけに黄ばんでいる。そんな姿をである。
「あれが彼の」
「彼についてあれこれ言うのは止めておくことだ」
ここで忠告が入った。
「それはいいな」
「それは何故ですか?」
「彼は他人に自分のことを知られることを嫌う」
このことを話すのだった。
「だからだ。このことは言わないことだ」
「そうなのですか」
「そして考えても駄目だ」
忠告はさらに深いものになっていた。
「考えても仕方のないことだ。いいな」
「仕方のないこと」
「私が言うのはこれだけだ。さて」
年配の男はここまで話すと立ち上がったのだった。そのうえでまだベンチに座っている若い男に対して穏やかな声をかけるのだった。
「後は仕事が終わる話を聞くだけだ」
「それだけですか」
「三日だな」
期日まで述べたのだった。
「三日のうちに話が終わる」
「三日で」
「三日後にはシンジケートの領袖達は皆急死している」
不審死を表現するのにもってこいの言葉が出された。
「それだけだ。ではな」
「後はそれを聞くだけで」
「全てが終わるのだ。では帰るか」
「そうですか。これで」
彼等の話は終わり夜の街から消えた。そうして次の日。渋谷の街をネクタイにブリーフ一枚の男がいた。彼は周囲の目も気にせず平然と歩いていた。
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