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少年は旅行をするようです
少年は加速するようです Round4
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が奇跡的ですらある。

つまり更に落第点なのがダスク・テイカーだ。距離を開けたいにしてもあの両腕の武装を持って

いながら必殺ゲージに見合わないダメージなど受ける意味が全く分からない。触手を伸ばせない

までも、それで受ければダメージを軽減できるし、クリッパーであればダメージを喰らおうと拳か

良ければ左腕ごと頂けている場面だった。所詮は精神の弱い他人を脅して手に入れた力。


「つまらんなぁ………。」


今度の呟きは、いつの間にか前に出て能美相手に叫んでいるハルっちには届かなかった。

俺と戦った事で油断を払い、初手から本気を出してくれる事を期待したんだが・・・上手く

行かないものだ。

そうこうしている内に三体のアバターは校舎内に消え、観戦者である俺は強制的に観戦出来る

校舎内に移動させられる。丁度、廊下に追い詰められた小型アバターが裏取りをしようとして

突撃した所を、大型アバターのストンプで発生させた震動でよろめき、蹴り飛ばされ再び廊下の

奥に弾き戻されたところだった。


「無駄だ、後ろは取らせないよ。最初から校舎内で戦いになっていたらもっと決着は早かった。

今後、テストの度に僕に乱入されたくなければ、奪った羽根をクロウに返すんだ。

そうすれば少なくとも僕は君に対して不干渉でいてやる。さぁ……どうする?」


―――危うく、フル○タのゲイツばりに『青いんだよォオォォ!』と叫びかけた。むしろ叫びたい。

冷静な計算が出来、かつ諦めも意地も悪い相手に取引を持ち掛ける時は追い詰めてからでないと。

それを示すように能美は余裕たっぷりに溜めを作り、溜息をついて首を横に振った。


「……黛先輩ならこの馬鹿馬鹿しい口約束も律儀に守るんでしょうね。まったく……世の中に、

いや、同じ学校にここまで価値観の違う人間が居るとは。………『全武装解除』。」


呆れを全面に出した能美が謎のコマンドを唱えると、両腕に着いた武装がバラリと崩れ、

地面に落ちた。それを諦めと見たのか、ハルっちとタッくんは目に見えて安心する。

しかしそれを嘲笑うかの様に、完全に無武装となったか細いアバターは腰を落とし構える。


「別に降参するって訳じゃないですよ。ただ、両手が塞がってたらこの"奥の手"は使えないので。」

「お、奥の手……!?」

「まだ続けると言うのなら、もう容赦はしないぞ能美!僕はあらゆる機会を捉えてお前と戦う。

そして叩き潰す。それでもいいのか!?」


"奥の手"を隠していると言う相手に、尚もこちらが上であると警告を続けるタッくん。

それに対する能美の答えは無く、代わりにこれから自分が行う事への嫌悪を盛大な溜息で


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