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少年は旅行をするようです
少年は加速するようです Round4
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以外の場面でも使っている筈だ。誰かを叩きのめしたり、宿題を

片付けたり……それに勿論、テストの時も。」


『テスト・・・』とハルっちが呟く。

確かにテスト中は学内ローカルネットとのデータのやり取りを切り離す事が出来ない。

そこで、カンニングしようとした瞬間を狙うとしたら――


「当然、テスト終了間際だ。外部アプリで調べる項目を纏めておいた方が効率が良いからね。

結果はご覧のt「――――なぁ。」……なに?」


自信満々に自分の推理を披露していたタッくんだが、黙って聞いていた能美が何やら呟く。

ゆらりゆらりと上体を揺らし、ガクン!と首を後ろに倒し、叫んだ。


「うるっさいなぁあぁああああああああああああああああああああああああ!!!」
ビリビリビリビリビリ!!
「「うおっ……!?」」


どす黒いオーラが渦巻き空に立ち昇ったかと見紛う程の猛々しい咆哮に、二人はのけぞる。

対し俺は・・・先日戦った腑抜け具合との違いに、少し期待を持った。

そうそう、下手にお高くとまっている様な相手ほどつまらないモノは無い。


「ええ、僕が気に食わないでしょうね!脅して戦わせて羽根を奪われたんですもんね!

でもあんな簡っっっっ単な出任せに騙される方だって悪いでしょう!そもそもその後

奪われたのは貴方の不覚でしょう!?正式な対戦で負けたんだから文句言わないで下さいよ!

そもそも加速をどう使おうが僕の自由でしょうが!それをまぁ全員で寄って集って好きな事

言ってやってくれて!ムカついてるのがあなた達だけだと思ってるんですか!?あぁあ!?」


・・・・・流石の俺も、その豹変具合には唖然とするしかなかった。

普段抑えてる人がキレるとやばいんだなー、と呆けていると我を取り戻したのか、コホンと

咳をして居住まいを正す。


「ふぅー……。僕からしたら加速をゲームの為だけに使ってる方が信じられませんよ。

ならなぜ『ブレイン・バースト』でなければならないんですか?他にもっと残虐で、暴力的で、

しかも無痛のゲームなんて山ほどあるじゃないですか。

結局、あなた達も自分を特権階級だと思ってるんでんすよ。世界に千人の加速能力者だ、他の

鈍間なガキ共とは違うんだ、ってね。そんなエリート様が何を偉そうに説教してるんですか。」


怒りを迸らせ、俺達を絶対に許さないと言いながらも、その立ち姿は悲しい。

ああ、これは知っている。あれは"絶望"した、"諦めた"者の姿だ。

だから・・・絶対に諦めない、互いに思い合う、ハルっちとタッくんを、嫉妬し、憎む。

ヘルメットに浮かぶ単眼が今度こそタッくんを射貫き、不条理に怒る"能美征二"ではなく
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