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悪ふざけ
5部分:第五章
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互いに笑みを見せ合った。
「何か、僕達似ていますね」
「ええ」
 確かに行動はそっくりだった。ここまでくるとかえって笑ってしまう。
「けれどまさか。相手がそんな格好するなんて」
「思いませんでしたわ」
 蒔絵はリラックスしていた。話しているのも楽しくなってきた。
「まさかとは思いますから」
「そうですよね」
 裕行はそれに相槌を打つ。
「こんなことってあるんですね」
「そうですね。何か面白く思えますよ」
「はい。何かこれでお別れなのが」
「惜しい位に」
 ここでも二人同じ考えであった。
「あれっ!?」
 そしてふと出て来た言葉に顔を見合わせた。
「おかしいですね」
「そうですよね、何か」
 名残惜しいと。思えば不思議な言葉であった。
「お互いお見合いを潰す為にこんな格好してあんなことしたのに」
「こんなこと言うなんて」
「けれど。何か悪い気はしませんね」
「そうですね」
「高橋さんでしたね」
「はい」
 まずは蒔絵が答えた。
「木原さんでしたよね」
「はい、そうです」
 今度は裕行が答えた。
「今更こんなこと言うのは何ですけど」
「ええ」
 二人は顔を少し赤くさせて言った。蒔絵はその濃い化粧で赤いのがわかりにくいが。
「結婚はともかくとしてお付き合い致しませんか」
「はい」
 蒔絵はその言葉にこくりと頷いた。
「私でよければ」
「こちらこそ。お願いしますね」
 こうして二人は交際をはじめることにした。結婚はともかくとして付き合いははじまったのである。
「何はともあれよかったじゃない」
 おばさんはその結果を聞いて嬉しそうにこう言った。
「最初はどうなるかって思ったけれど」
「それは私もよ」
 お見合いの後で喫茶店で話をしていた。コーヒーを飲みながら二人で話をしている。
「実はね」
「何なの?」
「このお見合い、嫌だったのよ」
「やっぱりね」
 おばさんはそれを聞いて頷いた。
「わかってたの?」
「そんなの態度見ればわかるわよ。あれだけ写真見る時点でごねてたんだから」
「あの時ね」
 そういえばそうであった。彼女はその時から渋々だったのだ。おばさんにはそのこともわかっていたのだ。
「わからない筈ないでしょ」
「はあ」
「私だってこういうこと何度もやってるんだから」
「けれど。失敗したわ」
 蒔絵は両手を頭の後ろで組んでこう言った。
「自分でもお付き合いすることになるなんて思わなかったから」
「その割りに嫌な顔じゃないわね」
「今はね」
 そう返す。
「だって。お互い同じこと考えたし」
「あらあら」
「二人で話してみると本当にそっくりだったし。悪い気はしなかったから」
「だからお付き合いすることに決めたのね」
「そうよ。けれど結婚は
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