暁 〜小説投稿サイト〜
宇宙を駆ける狩猟民族がファンタジーに現れました
第二部
狩るということ
じゅうさん
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し方ないこととして諦めて貰おう。それに、ここで彼女がどのように行動するのかが、分かるというものだ。

「そ、総隊長!これ……これは混沌獣(ペルトゥール)です!!」
「なに? 間違いないのか!?」

 1人の騎士が叫ぶように言うと、辺りざわつき始める。更に総隊長の動揺した声が、それに拍車を掛けた。

「間違いありません……。頭部はありませんが、ガミュジュかと……」
「まさか……。確かにここは深部ではあるが、ガミュジュが出るなどと」

 なんだ、あの面白生物。ちゃんと個体名が存在していたのか。舌を噛みそうな名前ではあるが。
 ああ。もしかして、それを伝えたかったのか彼女は。呼ぶときは舌を噛むのを気を付けてください的な。

「ガミュジュに魅入られた者は魂を抜かれ、殻の肉体を傀儡とすると聞くが……。エリス、ガミュジュ以外にそれらしいモノを見掛けなかったか? そもそも誰がこれを? ヤツの頭はどこへいったんだ?」

 こっちか、伝えたかったのは。
 気味の悪い死霊使いのような真似をするのであれば、確かに注意は必要だ。
 それよりも、魅入られるとはいったい何に魅入られるというのだろうか。

 面白さか?

 確かに面白生物の1匹ではあるが、私の『ビックリ!奇妙奇天烈、万物面白い生き物100選!』には、到底載れない。間違いなく書類選考落ちだ。

「……それなのですが、私もたまたまこの森の見回りをしておりました。その際に、なんとも言えない気配と申しますか、恐らくいま考えればガミュジュのものだったのでしょう。それを感じ、辿ってきてみれば……」

 そう言って、総隊長からの質問責めに嫌な顔一つすることなく、エリステインはさらりと嘘を付く。「辿ってきてみれば」と言った際に、視線をガミュジュに移した仕草は、オスカー女優も真っ青な演技力であった。

「そうか……。あのようなことがあったすぐ後だ。エリス、君の気持ちは分かるが、あまり無理はしないように、頼む」
「お心遣い、痛み入ります」

 なんだあの2人の温度差は。総隊長がいっそ憐れに思えてくる。

「ふむ、真相は闇の中……か。それならば仕方がない。では、我々はガミュジュの死体を早急に王都まで持ち帰ろう。学者共が優々と解剖に勤しむ様が目に浮かぶな」

 そう言って、部下の騎士達にテキパキと指示を出し始める。エリステインもその作業の手伝いに自ら名乗り出たところを確認し、私はそこから意識を切り離す。

 うーむ。

 総隊長やその他騎士、エリステインの反応を鑑みると、混沌獣(ペルトゥール)という存在はかなり厄介なモノのようだ。

 まあ、パパラッチをしていたお陰で、それなりの情報を収集できたのは僥倖と言える。まだまだ私の知らないことは、山というほどあるだろう。そ
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