見知らぬ少女
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「この部屋だよー、お手洗い行ってくるから先入って!」
可憐に背中を押され、半強制的に部屋に入った。
「それじゃ!お菓子も持ってくるねー!」
「あ!ちょっと!」
バタン。という音だけが部屋に響いた。
寛くつろいでてと言われてもどうすればいいのか分からない。
とりあえず近くにあった本棚を覗く。
数々の参考書に教科書、様々な辞典。その横には漫画が並べられている。
「へぇー、流石だなぁ……ほとんど参考書で埋まってる……ん?」
漫画と辞典の境目に隠すようにしまってある本に目が惹かれ、思わず手に取
る。
「『百合な世界』?なんで女の子同士で寝てるんだろ?変わった漫画だな
ぁ……」
表紙には制服の女子高生二人が手を繋なぎあって眠っているイラストが描かれ
ている
美鈴はポカンとした表情でただその漫画の表紙を見つめる。
ページをめくろうとすると可憐が部屋に入ってきた。
「お待たせー、紅茶かコーヒー迷っちゃってさぁ……」
「うんん、全然いいよ。ところで可憐、この漫画はどういうストーリーなの?」
手に取っていた漫画を可憐に見せる。
その瞬間、可憐はこちらから確認できるほど焦り、赤面した。
「…………み、見た?」
「ううん」
「そ、それはね、表紙の女の子達が空を飛んで悪いヤツらを倒す漫画なんだ
よ!」
「そうなの?なんか面白くなさそうだねー」
「うん!全然面白くないんだー!」
「面白くないのに買ったの?」
「そ、そうなの!失敗失敗!あははー」
今にも爆発しそうな程に頬が赤い可憐。
色々疑問が残るがしぶしぶ本をしまう。
すでに可憐は精魂尽き果てていた。
「だ、大丈夫?」
「ヨカッタ、ヨカッタ、ヨカッタ………」
壊れたおもちゃのように上を向き、同じフレーズを繰り返す可憐。
そんな可憐を心配していると、誰かが階段を上ってくる足音が聞こえてきた。
可憐のお母さん?お父さん?それとも……誰?
「ばんわー!可憐、遊びに来たよん!」
「ヨカッタ、ヨカッタ……」
美鈴の視界に映ったのは見覚えのない少女。
「本当に誰?」
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