見知らぬ少女
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ゃっ
た?」
「え?なんで?」
可憐は俯いていた顔をこちらに向ける。疑問に満ちた顔だった。
正直驚いた、驚いた、が。
「なんで嫌いになるの?何があっても可憐は可憐じゃん」
「え……あ……うん……」
涙が流れているのに今更気づいたかのように涙を拭う可憐。
そんな可憐が妙に愛らしく、愛しかった。
「とりあえず、ここまで来たんだし上がって行ってよ!」
「あっはは!可憐、鼻水だらだらだよー!」
昔から変わらない明るい性格、変わらない姿の可憐がそこには居た。
そんな可憐を見て私はおもわず胸を撫で下ろした。
「まあまあ、入って入って!」
可憐に誘われるがまま玄関を跨ぐ。
入ってすぐの横には靴箱があり、玄関の広さは大体二畳ほど。
小窓には観葉植物や可愛らしい置物が置いてあり、玄関全体には洋風チックな
雰囲気が漂っている。
正面にある二メートルほどの廊下の先にはリビングに繋がっているであろうド
アがあり、その横には二階に繋がる階段がある。
良く磨かれている廊下に足をつけ、可憐の後ろに続く。
「お母さん、ただいまー」
「おじゃましまーす」
「はーい」
台所に繋がっているであろうドアの先から声が聞こえてきた。
可憐の母親だろうか、実は今までに可憐の母親を見たことが無い。
気になったため、挨拶も兼ねて見てみることにした。
「可憐、可憐のお母さんに挨拶してきてもいい?」
「ん、ああ、そっか!美鈴は見たこと無かったんだっけ?」
「うん、いつも私が遊びに行ったときいなかったから……」
「台所にいると思うよー、廊下歩いて一番奥のドアだけど……案内しようか?」
「うん、お願い!」
ただ友達の母親に会う、それだけなのに妙な羞恥心を抱いた。
結婚の挨拶に行く婿か!……とセルフツッコミを入れ、落ち着きを取り戻す。
可憐が台所に繋がっているであろうドアに手をかける。
ドアが開けた先はイギリスだった。
いや、正確にはイギリスではない。が、そう勘違いしかねない人物が目に入っ
た。
綺麗にまとめてある金髪にゆったりとした口調。瞳は綺麗な蒼眼。
ピンクのエプロンをし、なにやらグラタンらしいものを作っている最中だっ
た。
完全にテレビでよくみる外国のホームステイ先のお母さんだ。
「可憐のお母さん……?」
「あらー、こんばんはー。新しいお友達……?」
「友達の美鈴だよー!小さい頃も遊んでたんだよ?」
「ごめんねー、可憐が小さい時はお母さん夜遅くまで仕事してたからー。これか
らも可憐と仲良くしてあげてねー」
「は、はい!」
挨拶を済ませ、二階にあるという可憐の部屋に向かった。
ドアには『カレンのお部屋』というネームプレートがぶら下がっている。
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