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[8]前話 [1]後書き
昼食を取り終えた後は、幾つかの班に別れての行動となった。
周囲の探索に行くもの。
食料を確保するもの。
小さい子が疲れて寝ているため、その子守りとして残るもの。
一刀は食料確保の班に回された。
一刀としては、探索に行きたかったのだが、体力不足な上に、戦闘でも足手まといであることを指摘されてはどうしようもなかったのである。
しかし、そこでずっと落ち込むことはなく、皆に満足してもらえる料理を作るため、食料調達班に入ったのだった。
ただ、その結果はあまり芳しいものとは言えなかった。
結局一刀が取れたのは、魚ではなくアワビやサザエなどの貝類。
普通であれば喜べるそれは、他の子の釣果と比べてしまい、少しでも年上としての威厳を保とうとしたことが馬鹿馬鹿しくなる。
他の子は手作りの籠の中に何匹も魚が入っていた。
「父上! 一杯とれましたぞ!」
「へへーん。空には勝ったな! 私なんて5匹もとったもんね!」
「葵は釣りというものを勘違いしている。潜って槍で突くのは釣りではない」
「負け惜しみか?」
「父上ならば正確な判断を下してくださる。でしょう、父上?」
「あーうん。そうだな。とった数では葵が多いかもしれないが、釣果としては空の勝ちだな」
「んー……勝ってるのに負けたのか?」
「まあ、今回は引き分けにしとこう。それよりも、海水はちゃんと落とさないと髪がごわごわになるぞ」
「えっ!?」
一刀に指摘された葵は、籠をその場に落とし、両手で髪の毛を触り始める。
「ど、ど、どうしょう!?」
「水で洗ったら大丈夫だから、そんなに慌てる事はないさ。先ずは川に行っておいで」
「行ってくる!」
葵は、布を腰に巻いた格好のまま、川がある方向に向けて走り出す。
一刀は葵の置いていった籠を拾うと、空と一緒に留守番をしている子供たちの元へ戻っていった。
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