第3章 リーザス陥落
第87話 最終局面へ
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勿論……、空気を読んで、黙って見ているつもりだったが、ここまで トーマが変われば……思わず言わずにはいられなかった様だった。
そんな2人の言葉を訊いて、今度 嗤うのはユーリだった。
「なら……、お前らだったら、また撤回するか? 『その程度か?』や『残念だ』を撤回したばかりなのに、今度は『さっきの無しにしよう』とか?」
ニヤリ、と笑いながらそう言うユーリを見て、2人は軽く首を振った。
そう、前者の言葉は兎も角、後者。
……男が一度口にした言葉を、再び飲み込む様な真似はできない。……己の誇りを守る為にも。
「儂としても、名誉挽回をさせて欲しいもの。――部下たちに、情けない姿を見せてしまった故にな」
トーマは、下ろした戦鎚を再び握り締めた。
それだけの所作だと言うのにも関わらず、強大な威圧感が全身を叩く。……風を巻き起こしたかの様に、戦塵が舞う。
その後ろには、トーマの部下達全員が、彼の背を見ていた。
驚愕をしていた、あの劣勢の刻の様な姿ではない。完全に信頼。非の打ち所のない軍人としてのあり方を学んだ師。信頼と尊敬、それだけを向けていた。
「――それに、言った筈だろ? これ以上犠牲者は増やしたくはない。……それに、正直な気持ちは、オレ達の真の意味での敵は、互いじゃない。今は、人類共通の敵。『魔人』と言う共通の敵がいるんだ。って所かな。……まぁ そう言う訳にもいかんだろうが」
「御最もな意見だ。……が、今更 反旗を翻す様な真似をし、恥をさらすわけにはいかん……」
そこまで言った所で、ユーリの視界に入ってくる者達がいた。
「………ゆぅ」
「ユーリ、さん……」
「ユーリ……」
「ユーリさん……」
「ユーリさんっ」
志津香やかなみ、メナド、ラン、トマト。
続いて、無言だが、その直ぐ傍にいるクルックー、ミリ。
「はは。……世話、かけるな。いつもいつも」
「ほんと、不器用、なんだから………」
皆を代表するかの様に、一歩前に出て、そう言うのは志津香だ。
ロゼやセルも、勝負の行方を見届けるつもりの様だった。
そして、再び互いに向き合う。
もう、誰の邪魔も入らない2人だけの領域。
「始まっても無かったが、……ここからが、最終局面だ。――……トーマ・リプトン」
「望む所よ。――……ユーリ・ローランド」
場の気が一段階濃密になり、そして 最終局面が始まるのだった。
〜サウスの町〜
ノースで人類最強との一戦を繰り広げている最中、サウス側にも負けない程の激
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