第二十七話 デートじゃないのにその十一
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「奇麗な顔が台無しですよ」
「奇麗って誰がよ」
「だから。先輩ですよ」
話がまた戻ってきました。
「しかし。先輩をブスですか」
「何度も言われたわよ」
「じゃあそいつは人を見る目が全然ないんですよ」
どういうわけかここで声が真面目なものになる阿波野君でした。
「馬鹿だったんですよ。気にしたら駄目ですよ」
「気にしたら駄目って」
「僕が保障しますって」
声がさらに真面目なものになってきていました。
「先輩はブスじゃないですよ」
「そう言ってくれるの?」
「背は小さいですけれどね」
「それは言わないで」
これでも子供の頃はクラスでは大きい方だったのに。気付けばクラスで一番前です。何をやっても全然大きくならないまま遂に高校三年生です。
「気にしてるんだから」
「別に気にしなくてもいいじゃないですか」
「それは大きいから言えるのよ」
小さいとそれはもう。コンプレックスを感じて仕方がないです。そういえばあのアドルフ=ヒトラーは小柄どころかその背は一七五あったそうです。当然私よりずっと高いです。
「いい?小さいとね」
「そもそも先輩身長幾つですか?」
「一五〇よ」
誰がどう見ても小柄です。
「悪い?」
「僕一七八です」
「かなり高いじゃない」
っていうか何それ?ってレベルです。私なんかおかげで誰かと話す時は相手の人がちょっと高いと見上げないといけないのに。
「羨ましいわね」
「千里ちゃん、そんなことでうらやんだりしたら駄目よ」
お婆さんにまた言われました。
「女の子にとってはどうってことないからね」
「どうってことないですか?」
「そうよ。かえってもてたりするわよ」
「そうですか?」
自分ではあまりどころか全然そうは思えません。黒谷友香さんなんかテレビで観ていてとてもうらやましいですけれど。吹石一恵さんなんか胸まで凄いですし。
「こんなに小さくてもですか?」
「子供みたいですよね」
「阿波野君と一緒にしないでっ」
この子は完全に大きな子供だと思います。
「背が小さいのは気にしてるんだから」
「まあまあ」
「まあまあじゃなくてね、本当に」
「だから。話は聞きなさい」
またお婆さんが言います。
「テレビでも女の人は小さい人でもいいじゃない」
「はあ」
「おぢばでも小さい人多いわよね」
「女の人はそうですよね」
「だから千里ちゃんも気にすることはないのよ」
このことは誰からも言われますけれど。それでもやっぱり背は欲しくて。子供の頃はこのまま伸びるかもって思っていたのは淡い期待でした。
「背の高い男の子見つければそれでいいのよ」
「何でそこで背の高い男の子がなんですか?」
「結婚して子供ができたら背が高くなるかも知れないでしょ」
遺伝のお話でし
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