第二百五十三話 最後の合戦その十一
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「これは」
「わかりますね」
「はい、日はこの上なく輝いて」
そしてというのだ。
「雲はです」
「五色になっていますね」
「白だけでなく赤、黄、青、黒と」
「その五つの色がありますね」
「これは何といいことか」
「吉兆ですね」
「この上ない」
「それにです」
その眩いまでに輝く日輪を指差してだ、帰蝶は市にさらに話した。
「あの日の中にです」
「何か」
「見えませんか」
こう言ったのだった。
「何かが」
「そういえば」
市は眩しく輝くその光をじっと見据えた、すると。
その日の中にだ、あるものを見たのだった。
「龍、それに」
「あれは虎」
「朱雀に玄武もいますね」
「麒麟までもが」
「尊い獣達まで見えます、これは」
「この天下にですか」
「この上なくよきことが起こる証でしょう」
こう市に話すのだった。
「つまりは」
「兄上、そして猿夜叉様が」
「勝たれてです」
「この天下ですね」
「長く泰平にされてです」
「栄えさせてくれる」
「それを知らせることでしょう」
そうであろうというのだ。
「まさに」
「そうですね、私もわかりました」
「では私達は」
「はい、この安土において」
「待ちましょう」
市に顔を向けてだ、お市は告げた。
「上様と他の方々を」
「ここにいてですね」
「そうしましょう」
「それでは」
ここまで聞いてだ、そのうえで。
市もまた微笑みになりだ、帰蝶に言った。
「お茶を飲まれますか」
「これからですね」
「はい、そうされますか」
「そうですね」
帰蝶もまた市に顔を向けていた、そのうえで。
あらためてだ、こう市に答えた。
「それでは」
「私が煎れさせてもらいます」
「そしてですね」
「共に飲みましょう」
市が煎れたその茶をだった、共に飲み。
帰蝶はこの時はだ、こう言ったのだった。
「では上様が帰られたら」
「その時もですね」
「お茶を飲みましょう」
「兄上はお酒を飲まれないので」
「はい、ですから」
「お茶で、ですね」
「お祝いをしましょう」
「是非共」
「お菓子も」
帰蝶はこちらも話に出した、二人は今は白く透き通ったこの上なく奇麗な菓子を共に食べているがそれも見て言うのだった。
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