第二百五十三話 最後の合戦その八
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その老人は周りに来る者達を観て言った。
「武田、上杉、北条、毛利に」
「浅井、徳川、伊達、長宗我部にです」
「そして羽柴、明智です」
「そこに織田信長です」
「合わせて十一人です」
「我等と同じ数か」
「はい、我等魔界衆の棟梁と」
ここでだ、老人は言った。
「そうじゃな、杉谷にな」
「はい」
「無明、天海、崇伝、高田、津々木にな」
それにだった。
「百地、石川、楯岡、音羽とな」
「合わせてですな」
「十一人」
「御前も加えて」
「そうじゃ、これで松永がおれは」
忌々しげにこうも言うのだった。
「十二家であったが」
「その松永がです」
「あの様になりました」
「それで十一人」
「そうなっています」
「その我等に十一人が来た」
信長を入れてだ。
「ならばな」
「はい、その者達を倒し」
「そしてですな」
「何としても生き残りましょう」
「意地でも」
「織田信長、まさかな」
老人は舟に乗りこちらに来る信長を見据えた。青い南蛮具足の上にマントそのものの陣羽織を羽織っている。その彼を見てだ。
そしてだ、こう言ったのだった。
「ここまでなるとは」
「中々排除出来ませんでしたが」
「我等をここまで追い詰めるとは」
「これまで多くの者に敗れてきましたが」
「それでもですな」
「あの者こそがな」
まさにだ、信長こそがというのだ。
「我等を最も追い詰めた」
「まさに滅びる間際」
「そこまで」
「放っておけば危ういと思っていたが」
それで彼が尾張一国にいた頃から仕掛けていた、そして松永も送り込んだ。しかしそれで効果がなく、だったのだ。
「ここまでとはな」
「思った以上でしたな」
「では、ですな」
「何としても」
「あの者を」
「わしが対して倒す」
必ずという言葉だった、ここでも。
「ではよいな」
「はい、それでは」
「我等もそれぞれです」
「向かって来た者を倒し」
「逃げまする」
「そうせよ、では行くぞ」
こう話してだ、そしてだった。
魔界衆は命を賭けて最後の戦いに向かおうとしていた、だがその間にもだった。
幕府の軍勢は攻めて来て魔界衆の周りの者を次から次に倒していく、羽柴が向かう先にも兵達がいたがだ。
その彼等をだ、柴田と丹羽、佐久間達は倒しつつ彼に言った。
「猿、御主はこの度あまり手柄を立ててはおらぬ」
「それではな」
「棟梁を一人倒すがよい」
「何と、それがしに手柄をですか」
「そうじゃ、立てよ」
滝川も言って来た。
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