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【仮題】黒翼騎士の英雄譚
第01話:邂逅
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良い意気込みだ。それを見込んで私と契約をしないかね?」
「契約?」
「ああ、契約だ。」

 そして黒乃が一輝の方へ書類を飛ばし、一輝はそれをキャッチして内容に目を通す。

「これは...」
「そこに書いてある通りだ。君が七星剣武祭で優勝出来れば、卒業に必要な単位を全て、理事長権限で君に与えよう。」
「…優勝できなければ?」
「七星剣武祭出場の時点で、進級に必要な単位は全てやる。ただまあ、出場すらできなかったら...また一年、頑張りたまえ」

 要は、黒乃は一輝にこう言っているのだ。『卒業したければ優勝しろ』と。
 だが、これは一輝にとってはメリットしかない。一輝は今一年生。つまり、出場さえすれば進級できるのであれば、少なくとも3回はチャンスが巡って来る。その間に優勝出来ればよし、出来なくても全国の名だたる実力者たちと公式の場で勝負できる。貴重な経験を積めるのだ。

「何故、自分なのでしょうか?」

 一輝の疑問は当然だ。この学園には自分以上に才能に溢れた抜刀者(ブレイザー)がいる。上級生の中には実践投入されている者もいるくらいだ。そんな中で黒乃が一輝に期待する理由が分から無いのだ。それに――

「確か、今年の一年にはAランクがくると聞いています。僕よりも余程有望でしょう。」

 授業すら受けさせて貰えなかったFランク騎士と、将来有望の世界的に有名なAランク騎士。どちらを選ぶかなど分かりきっているというのに。

「勘だよ。勘」

 だからこそ、黒乃が漠然した理由を述べた時に一輝は心底驚いた。

「勘...ですか」
「ああ。これでも私は元世界ランク3位だ。強い奴は見れば分かる。『こいつは他とは違う』とな。」
「なるほど。説得力がありますね」
「そうだろう。さて、話を戻すぞ。黒鉄、やる気はあるか?」
「出来なかった場合のペナルティは?」
「先程言った通り、またもう一年頑張りたまえ。」
「分かりました。お受けします。」
「ではその書類にサインを。それと血判もな。」

 そして一輝は書類にサインし、更に血判を押して、黒乃へと渡した。

「よし、契約成立だ。授業が始まればすぐに選抜戦が始まる。今のうちからトレーニングに励みたまえ。」
「はい。それでは失礼します。」

 計画通りに事を進めたことに満足気な黒乃を尻目に、一輝は理事長室を後にするのだった。


 ???


 その日の昼時。
 早朝に理事長室に呼び出された後にすぐにトレーニングをはじめた一輝は、昼食をとるために一時的に学生寮に戻ってきていた。

「一輝くーん、郵便が届いてるよ―」
「あ、どうもありがとうございます」
「いやー、昨日も同じ人から届いてるよね?サラさんだっけ?もしかして彼女?」
「そんなんじゃ
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