外伝
外伝《絶剣の弟子》E
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……終わった……」
「お疲れー」
数時間に及ぶ戦闘が終わり、一気に緊張感が緩む。クエスト開始時は吹雪いていた天気はいつの間にか消え、突き刺すような寒さは消えたものの空は相変わらず暗雲が立ち込めている。
「皆さん、お疲れ様です」
長太刀を背負ったウンディーネの女性が先程までは少し違う、柔かな表情で寄ってきた。
「ユウリ、今日はありがとう!」
「いえ。私たちにも益のあるクエストでしたし、何より友人の頼みですから」
「でもほら、今回はボクの個人的な事情もあったからさ」
「では《オラトリオ・オーケストラ》として《スリーピング・ナイツ》に組織的な借りを作ったということで」
「ええ??えと、うん、それで……良いかな?」
どう考えても厄介なことになってますよユウキさん……とツッコミたさはあるが、個人的な事情というのは多分俺のことなので益々申し訳ない気持ちになる。俺はこの人に、一体どれだけの借りがあるんだろうか。
話が一区切りついたところで自分からもお礼を言おうと口を開きかけた時、後方に居た、大剣のノームの男性が声を上げた。
「おーい、ユウリ。ハンニャからメッセだ。『どう始末付ける?』だそうだ」
「そうね……『尋問用に1人確保』と」
「こわ」
「黙りなさい」
体が底冷えするような冷厳な声をユウリさんが発し、思わず背筋が伸びる。
ユウリさんは肩にかかった長い髪を後ろに払うと上空で待機している、カイトと呼ばれたサラマンダーに声をかけた。
「カイト、私とアー君、リオ。後はアルセがハンニャとセラの援護に戻るわ」
「分かった。セイン、ユウリから聞いた。ギルドに戻ったら例の話を聞かせてくれ」
「分かりました」
「アスナ、キリト君に連絡は着くか?出来れば彼の意見も聞いておきたい」
「昨日聞いた限りではそろそろログインしてもいい頃だと思う。一度落ちて連絡してみるね」
「助かる。ユウキ、《スリーピング・ナイツ》はどうする?」
「んー……」
「ユウキ、一応聞くだけ聞いてみるべきだと思うわ」
「ん、分かった。ボクたちも行くよ」
カイトさんがテキパキと場をまとめる。流石はALO最強ギルドと言われる《オラトリオ・オーケストラ》のマスターだ。
「えーと、確かライト君だったかな。君にも来て欲しいんだが」
感心しつつも今日のこのクエストはお開きのようなのでここらで失礼しようかと思っていると、突然カイトさんから声をかけられた。
「は?え……はい?」
「俺たちの把握している情報から推察するに君にも関係があるかもしれない話だ。遠慮は要らない。ウチの本部まで来てくれ」
未だ暗雲が立ち込める、アルヴヘイム最北端にて、俺の驚愕の悲鳴が響いた。
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