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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
外伝
外伝《絶剣の弟子》E
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キさんが俺の心から出た感嘆詞を一蹴する。
 こんなものじゃない、というのは一体どんなものなのか。その疑問は数秒で解消された。
 閃光の主は宙でくるりと一周回り、その場に停止すると腰から下げた日本刀に手を添える。
 その人はサラマンダーだった。セインさんと同じぐらいの背をした男性で、軽装戦士用の身軽な装備に光沢のある紫色のマント、それには音符に剣を2本クロスさせた紋章があしらわれていた。その紋章に何となく見覚えのあった俺はセインさんとアルセさんに視点カーソルを合わせてハッとする。2人の頭上にはサラマンダーの人が背に負う紋章と同一のものが浮かんでいた。

「ギィィィィ??」

 大ムカデが自分にダメージを与えたサラマンダーの男性にターゲットを変えると顎のハサミを大きく開きながら襲いかかる。サラマンダーの男性はその巨大な姿に物怖じすることなく、宙でバランスを取ったまま屈み込んだ。
 同じモーションを別のゲーム、とは言ってもそれは2Dゲームだが、見たことがあった。
 瞬きの刹那にそれは始まり完了する。鈴が鳴るような甲高い音が響き、一瞬遅れて大ムカデの顎がかち上げられる。さらに半秒後、血のような赤いダメージエフェクトが噴き出した。
 抜刀術。それも、遠目に見ていても剣の軌跡は愚か一連の挙動すら目にすることが出来なかった速度。システムエフェクトすら一瞬遅れている。

「あの、ユウキさん。あの人は?」
「セインとアルセが入ってる《オラトリオ・オーケストラ》っていうギルドのマスターだよ」
「え」

 オラトリオ・オーケストラ。浮遊城アインクラッドを攻略している巨大ギルドで、その戦力は種族正規軍の全戦力に互すると言われる。メンバーは皆実力者で有名なプレイヤーばかりだ。
 鈴の音が鳴り、その度に見えない斬撃が大ムカデのHPを僅かずつ削っていく。
 さっきのアルセさんと言い、もしかしてこの人たち基準だとボスモンスターを単独で相手取ることが出来るというのは標準ステータスなのか、などと考えていると、頭上が一気に暗くなる。驚いて見上げてみるとそこにいたのは、龍。

「わあああ??」
「大丈夫大丈夫。味方だから」

 30メートル以上はある巨躯が頭上を通り過ぎていく。龍はそのまま大ムカデに飛びかかり取っ組み合いを始めた。世界を揺らすような龍と大ムカデ怒りの咆哮が周囲に響き、周囲に十数メートルの水柱が乱立する。

「怪獣大決戦が始まってるんですけど」
「一周回って落ち着いたね、ライト」

 それはもうこんなにも驚くことが立て続けに起きると感覚が麻痺してくるというものだ。今なら、いきなり海が割れたり空が落ちて来たりしても大して驚かないだろう。
 やがて頭上から数人のプレイヤーが降りてくる。大剣を背負ったノームの男性、細身の長太刀を背負
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