外伝
外伝《絶剣の弟子》E
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へ上昇!別働隊と合流するよ!」
雄々しい雄叫びをあげながら大ムカデをボッコボコにするアルセさんを尻目にセインが言う。
「そんなの居たんですか??」
「うん。このボスは海の奥底にいるから水面に引きずり出さなきゃいけないんだよね。そうしないと、仕留めるのは結構厳しい」
なら最初に言ってくれれば、と言おうとしたがその前にセインさんが再び口を開く。
「本来、このボスを水面まで引きずり出すのはウンディーネが数名いればいいんだ。でも、僕達だけでやってしまえばライト君の水中戦の経験にならないし、引きずり出す為の戦法はあまり他の戦い方の参考にならないからね」
「……それは、えと、ありがとうございます」
要は自分の水中戦の経験の為に寄り道をしてくれたということだった。ただでさえ頭が上がらないのに、さらに申し訳なく、恐縮してしまう。
「お礼ならユウキにね。よし、そろそろ行こう」
たった1人で大ムカデを一方的に殴っていたアルセさんが水面の方へ向きを変え、猛スピードで上昇していくのに合わせ俺たちも同時に水面に向かっていく。
ボスのタゲはアルセさんに向いているのか、横を泳いでいる俺たちには見向きもせずにアルセさんを追いかけた。
外は相変わらず吹雪いていたが、海の中に入る前よりは収まっている。大ムカデは無数の足と平たい胴体を水面にピタリと付け、張力で浮いているようだった。空を縦横無尽に飛び回るアルセさんに向け、酸のようなものを吐いて攻撃しているが、まるで当たらない。大ムカデはそれにイラつくかのようにギチギチと不快な音を鳴らし、足を気味悪く蠢かせていた。
やがて、その音の合間に小さく別の音が混じる。低音の弦楽器を絶えず鳴らし続けているような音と、何か巨大なものが空気を打ち据える音。何の音だろうと思案を巡らし一瞬、間を空けてその両者の音を思い出した。前者はアルヴヘイムの妖精たち誰もが持つ翅が出す音、後者はアルンに向かって飛んだ時に遭遇した、竜の羽ばたきの音に似ている。
ーーーグオオオオオオオオォォォォォォォッッッ…………
遠雷のような咆哮が彼方から聞こえ、トラウマ一歩手前にまで追い詰められた記憶がありありと思い出される。思わずビクッと体を縮こまらせた時、頭上を何かが猛スピードで過ぎ去った。
反射的に目で追うと赤色をした閃光が大ムカデと交錯し、次の瞬間俺とユウキさんが2人がかりでちまちまと斬っていた脚の1本が綺麗に切り飛ばされた。丁度酸をアルセさんに向けて放とうとした大ムカデの体が大きくたわみ、明後日の方向に酸は放たれる。
「すご……」
「まだまだこんなものじゃないよ」
やはり、というかあの閃光の主を知っているらしいユウ
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