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外伝
外伝《絶剣の弟子》E
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もう何本目とも知れぬ大ムカデの足を断ち切る。
 軽く30本以上は切っただろうか。断ち切る度に大ムカデの残存HPが微減し、ターゲットが俺に変わる。

「オラァァァッ??」

 大ムカデが巨大なハサミのついた頭部をこちらに向けたと同時に、アルセさんがその横っ面に蹴りを見舞う。裂帛の気合いと共に放たれたそれは大ムカデの巨体をふらつかせるとターゲットをアルセさんに移す。アルセさんは任せとけと言わんばかりに指を立てると高速でその場を離脱し、大ムカデを誘導し始めた。
 戦闘開始から1時間。5段あるボスのHPバーは2段目の半ばまで削られていたが、圧倒的に火力が足りていないというのが受けた印象だ。

(これ、何時間かかるか分かったもんじゃ無い……)

 時折タイミングを見計らってかけられるユウキさんの攻撃合図に機械的に反応し、ソードスキルを放つ。しかしそれは、無数にある足を1本切り落とすだけで何か目立った効果があるとは到底思えなかった。

「疲れた?」
「……ええ、少し」
「大丈夫。もうひと頑張りだよ!」

 仮想世界で身体的疲労は無いが、ここまでの連続戦闘は初めてだ。隙あらば一撃でこっちを沈められる威力の攻撃を向けてくるボスモンスター相手に、1秒たりとも気は抜けない。
 ユウキさんに向かって無言で頷き、もう一度ボスへ取り付こうとした時、後方のアスナさんの声が響いた。

「セイン君!予想以上にMPポーションの消費が激しいわ。このままだと次の段階で影響が出る!」
「了解。ライト君とユウキは一度下がって待機。シウネー、アルセ!」
「はい!」
「あいよ!」

 それを受けたセインさんが号令を掛け、シウネーさんとアルセさんが俺たちより前に出る。

「ライト、大丈夫。行くよ」
「え、でも……」
「大丈夫。後で説明するから」

 自分的には状況が飲み込めないという意味で全く大丈夫ではなかったのだが、ここで自分が出張っても出来ることは何もない。指名された両名も役割は分かっているらしく、行動に迷いは無いしどうにかなるのだろう。
 シウネーさんとアルセさんが同時に魔法を唱え始める。アルセさんが唱えているのはステータス強化の魔法で、シウネーさんが唱えているのは対象のステータスを大幅に強化する魔法とその効果を増幅する魔法だ。
 視界端のパーティーメンバーの名前がある場所でアルセさんの項目に、たちまち凄まじい数のバフアイコンが連なる。

「ふぅ……オーケーだセイン、始めてくれ」

 そして、首と指をバキバキと鳴らし、女性にあるまじき凶悪な笑みを浮かべると、地面を蹴るように水を蹴った。瞬間、大ムカデの顔面で花火のような派手なダメージエフェクトが飛び散り、ギィィィィと耳障りな怪音が周囲に響く。

「総員水面
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