機動戦艦ナデシコ
1312話
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「では、そろそろ交渉を始めましょうか。この世界のこれからを決める交渉である以上、私も気合いを入れざるを得ませんな。……それにしても、幾つもの世界と交渉を行ってきたというのであれば、エザリアさんはこのようなプレッシャーとは無縁でいられるんでしょうか?」
「必ずしもそういう訳じゃないわね。貴方が今口にしたように、色々な世界と交渉をしてきたのは事実よ。けど、その世界ごとに重要なものは違うし、慣れはしても世界の命運を決めざるを得ないのだから、楽をして交渉出来るという訳じゃないわ」
ナデシコの中にある一室、部屋としてはそれ程広いという訳ではなく、ブリーフィングルームに近い一室で、プロスペクターとエザリアはお互いに笑みを浮かべて握手を交わす。
てっきり交渉はいつものようにブリッジで行うのかとばかり思っていたのだが、どうやら違ったらしい。
考えてみれば、俺達がしようとしているのはこのナデシコ世界の未来すら左右しかねない交渉だ。
プロスペクターやエリナはそれなりの地位にいるとは言っても、別に社長や会長といった風に歴とした立場のある人物という訳ではなく、立場としては結局のところ一社員に過ぎない。
そんな人物にこのナデシコ世界の行く末を左右する権限があるのかどうかと言えば……
「まず言っておきますが、私達が今回交渉するのはあくまでもネルガルが連合軍に働きかけをするという事に関してです。連合軍が確実にシャドウミラーの要望通りに動くかどうかというのは、必ずしも約束出来ません」
プロスペクターの言葉に、エザリアが頷く。
つまりはそういう事だろう。
これからの交渉は、あくまでも連合軍にシャドウミラーとの間の橋渡しをするかどうかを決める……そしてネルガル上層部にそれを進言するかどうかを決める為の交渉という訳だ。
だからこそ、ここにいるのはネルガル側の人間としてプロスペクター、エリナ、ゴート。
シャドウミラーからはエザリア、イザーク、そして俺。もっとも交渉員はエリナでイザークは護衛、俺はオブザーバーに近い立場だが。
そして見届け役として艦長とイネス。
これだけの人数での交渉だ。
俺との話し合いでは整備班やパイロットといった面々もいたんだが、今回はそれとは大きく違うといったところだろう。
「そうね。私もこの世界の事はまだ一通り調べられる程度と、アクセルから聞いたくらいしか知らないからそうして貰えると助かるわ」
20代の子供を持つ母親とは思えない程の綺麗な笑みを浮かべてエザリアも答える。
お互いが笑みを浮かべているのだが、そうでありながら心の底では別の事を色々と考えているのだろう、そんなやり取り。
こういうのが出来ないから、俺は政治交渉に関してはエザリアに任せてるんだよな。
俺が出来るとすれば武力を前
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