機動戦艦ナデシコ
1312話
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人にしてみれば、その辺の違いを把握するというのは難しい。
「あら、でもナデシコの基になった古代火星文明の遺産がこの研究所にあるという話でしょう? そして木星蜥蜴もその技術系等の機体だと判明していると聞いてるのだけれど。ネルガルがナデシコの由来とやらを公表すれば、その辺の疑惑は晴れるのではないかしら」
「いやはや、お耳が早いですな。ですが、人間の中には自分の信じたい事を信じたいという者が多いですし、更にそれを良しとする人間もいます。特に今の連合軍上層部であれば、そう考える者は多いのですよ」
「それはまた、随分と浅慮としか言えないわね」
「私もそう思います。ですが、こう言ってはなんですけど、最近地球連合軍はいいところがありません。木星蜥蜴との戦いでも一方的に押されているのは、当時最前線だった火星が今では木星蜥蜴に占領されているのを見れば分かるでしょう」
その言葉は事実でもあった。
フクベ提督が戦った火星での戦いからまだそれ程時間が経っていないのに、既に戦場は地球にまで及んでいるのだから。
勿論、それは木星蜥蜴にチューリップという転移能力のある戦艦という存在があるというのも大きい。
あの艦が1隻あれば、どこにでも、幾らでも戦力を派遣出来るのだから。
そんな特殊な事情があっても、そもそも地球連合軍ですらチューリップが転移システムの出口であるというのは知らない。
恐らく俺が思っていたように輸送ポッドや輸送艦といった代物だと思っているだろう。
……だからこそ、ここまで苦戦しているのだろうが。
「それなら尚の事、私達と敵対するような真似はせず、手を組んだ方がいいのでは?」
「私もそう思います。ですが、残念ながらそれを決める権限が私にはないのですよ。実際にそれを決める権限を持っているのはそういう人達ですから。そのような人達へ今回のような話を持っていく場合、どうしても色々と手間を掛ける必要がありまして」
「手間、つまり現金という事かしら?」
「その可能性もあるといったところです」
「なるほど。けど、シャドウミラーとしてはそこまでの手間を掛けるという事は考えていないわ。最悪、このままゲートを撤去して自分達の世界に戻っても構わないのだけれど?」
「ほう。私共がアクセルさん……いえ、シャドウミラーという国家の代表である以上、さんづけは不味いですか。その、何とお呼びすれば?」
チラリ、と俺の方に視線を向けてくるプロスペクターだったが、俺はその辺特に気にしていないしな。
「そのままでもいいし、それがどうしても嫌っていうなら、他の世界だとアクセル代表って呼ばれてるな。まぁ、俺達は大統領制とかそういうのじゃないし」
俺の口から出た言葉に、プロスペクターは納得したように頷く。
「なるほど。ではアクセル代表
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