バーサクブレイズ
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、凡俗のソレをはるかに上回っている。そう、まるで戦いの申し子……戦闘の天才と言わんばかりに、敵対するもの全てを力づくでねじ伏せている。それが高ランク魔導師であれ、イモータルであれ、体内の暗黒物質であれ、絶対存在の破壊光線であれ、人間が幾百幾千集まっても成し得ない事を彼女は自らに多大な負担をかけてまで押し通した。そのような実績は、根性論や精神論だけで成し遂げられるはずがない。彼女の不屈の心……いや、執念か。それがどれだけ強かろうと、彼女はそれなりに普通の環境で育った。生まれながらの兵士でもない限り、彼女がこれまでの戦いで生き残る事はまず不可能だったのである」
「……何が言いたい?」
「少し話は変わるが、地球で冷戦と呼ばれた時代……核戦争を阻止したビッグボスという英雄がいた。彼はたった一人かつ生身で、最強の特殊部隊や多くの巨大兵器を打ち倒した。普通の人間では到底成し得ない事を成し遂げた戦闘の天才……そんなビッグボスの遺伝子情報を研究することで、ソルジャー遺伝子と呼ばれる戦闘に適した遺伝子が、キラー・インスティンクトと言われるものも含めて既に60以上発見されている。そのソルジャー遺伝子を高町士郎がほとんど全て内包していた……そして彼の娘である高町なのはもまた、ソルジャー遺伝子を濃く受け継いでいるのだよ」
「? なぜここで高町士郎の名が……そうか! そういう事だったのか!」
ある事実に気付いたおてんこが、合点のいった表情で推測を語る。
「高町士郎に会ってから私は疑問に思っていた。人形使いラタトスクが高町士郎を操るようになった期間は、世紀末世界でジャンゴが奴を浄化した時期を考えると、どれだけ長く見積もっても一年に満たないはずだった。しかし高町士郎が行方不明になったのはそれよりずっと前の時期……では彼を最初にアンデッド化させたのが誰なのか? それが今はっきりわかった……ヴァランシアこそが力尽きた高町士郎を研究のために捕獲、アンデッド化させていたのだ!」
なのはの父、高町士郎は元々“不破”と呼ばれた、裏世界でも最強クラスの暗殺剣を用いる御神流を継ぐ家系である。士郎や恭也、美由希が超人的な能力を持っているのは、実はソルジャー遺伝子を濃く引き継いでいるからでもあった。そしてその家系の血を継いでいる以上、なのはもまた、高濃度のソルジャー遺伝子が身体を循環している訳である。
「そうとも、高町士郎は実に良い研究素体だった。彼の身体から無数のソルジャー遺伝子が検出されたおかげで、どこにあるのか見当もつかなかったビッグボスの遺体を見つける必要が無くなった。このソルジャー遺伝子を濃く受け継ぐ人間のアンデッドは、それはそれは強力な手駒となるだろうと常々考えていた所にこの采配だ! 研究者として歓喜しない方がおかしいだろう!」
「貴様……!」
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