第十二話 自衛隊との共同作戦4
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定期的に輸送機による補給のお蔭で、現在の所はコダ村の住民達の不満は少なく逃避行も順調に行われていた。だが、その平穏も直ぐに殺伐とした雰囲気に変わり始めた。それは、島田が搭乗している4式装甲機動車に、上空監視についていたアニエス兵長が急いだ様子で戻って報告に来たからだ。
「炎龍を発見した!?」
「はい。このままだと後方にいるコダ村の住民が犠牲になってしまいます!」
「ここまで来て戦闘を始める事になるなんてな。くそ、自衛隊の面々にも伝えて戦闘準備だ!」
島田は直ぐに伊丹に無線で炎龍を発見した事を伝えた。
「伊丹二尉。炎龍を発見したとの報告が入った!直ぐに戦闘準備を!」
『了解しました!全員戦闘用意!』
自衛隊とアカツキ帝国軍の車両は後ろに方向を変えて一斉に走り出した。車両の中にいるけが人のコダ村の住民達は、突然の方向展開に驚きバランスを崩すが、懸命に歯を食いしばって耐えた。そして車窓から上空を見下ろすと、そこには自分にとって餌とも言うべき人間に向かい急降下してきて迫ってくる炎龍であった。
「炎龍確認。清水!携SAMを撃て!」
「了解!」
無防備なコダ村の住民にめがけて襲い掛かる炎龍に90式携帯地対空ミサイルで標準を合わせる。本来なら偵察隊である彼らが携帯SAMを装備する事はないのだが、炎龍相手に厳しいと判断した島田は坂本中将に補給物資の中に携帯SAMを追加するようにお願いしたのだ。
無論、第三世代戦車クラスの強度を誇る炎龍相手に携SAMが有効打になる事はないのだが、それでも上空から襲い掛かる敵に対して現状の偵察隊の装備では心元ないので、島田は自分の要望を聞き入れてくれた坂本中将に感謝した。
90式携帯地対空ミサイルが発射される。地対空ミサイルは上空にいる炎龍に追尾する様に向かっていく。初めて見るミサイル攻撃に戸惑う炎龍だが時は既に遅く、そんな疑問を考える間もなく炎龍に地対空ミサイルは直撃した。地対空ミサイルが炎龍に直撃した時に爆発を起こして、その爆風もあり、炎龍はバランスを崩して地面に叩き付けられた。見た目は派手にやられたように見える炎龍だが、地対空ミサイルの攻撃は然程効いておらず。逆に今まで自分に対してここまでの攻撃を与えた相手に目にするのは、久しぶりという感覚であった。
だが、それは強者である自分にダメージを与えた敵に対する敬意ではなく怒りだ。地対空ミサイルの攻撃を受けた炎龍は、その攻撃を実行した人間に対する怒りで埋め尽くされていた。お前らはただの餌だ、餌のくせに炎龍に対して攻撃など無駄のくせに、何故抗うという考えで一杯であった。普通の龍……いや、他の野生生物なら訳の分からない攻撃を受ければ警戒心を強くして慎重になるが、炎龍に関しては例外であった。
そう、炎龍は絶対強者。
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