第一部
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じゅう
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てから”である。
流石に、何も考えなしでというわけではないだろうが、全くもって予想できない。
気は抜けないが、取り合えず、いまはこの作業を続けよう。
―
言語情報の蓄積に約30分ほどを費やしたところで、この地の言語体型、ロジックを把握することができた。
流石にネタが尽きてきたのか、次は何を言えば良いのか頭を捻っている目の前の女騎士に、コンピューターガントレットを操作しながら口を開く。
「助かった。大体の言葉の翻訳は完了した」
元々の地声がグロウルを効かせたような聞き取りにくさと、ヘルメットの翻訳機能を通したことによる機械的な音声も混じってしまい、若干無骨で無機質に感じてしまうが致し方ない。
「あ、そ、そうですか。それにしても、覚えるのが早いんですね」
私が特徴的すぎる声で流暢に話し出すと、彼女は一瞬ギョッとするが、すぐに柔らかく笑みを浮かべる。
「物覚えがいいのは私じゃなく、こいつさ」
そう言ってコンピューターガントレットを指でつつく。
彼女は私の左腕を見て、キョトンとしながら首を傾げる。
「魔道具、でしょうか。言葉を話せるようになる魔道具など、聞いたことありませんが」
「……そう思ってくれて構わない」
魔法の魔の字も使っていないので魔道具とは言えないが、こちらの人々からすれば、科学の力も摩可不思議な物に変わりなく、ある意味では魔法だ。
それに、コンピューターのコの字も知らない者にその機能の何足るかを説明したところで理解できるかも分からないし、そもそも話す必要性もない。
にしても、魔道具か……。
それが当たり前のものとして普及しているか、そうでないかは別として、そういったものが存在する、というのが分かったのも僥倖だ。
「なるほど。では、先ほどの透明になれるのも魔道具でしょうか?」
そういった彼女の瞳は細められており、なにか探りを入れているのは明らかだった。
まあ、透明になれるんだから、それはどう考えても驚異以外の何物でもないな。
名前から分かる通り、彼女がこの地を納めている種類の人間に連なっていることは想像に難くない。それがこの地、領地を納めている領主の血族として近いか遠いかはこの際置いておくとして、そんな姿を消すものが自領内にいるとなれば、心穏やかに、など無理な話だろう。
「信じるかどうかは貴様次第だが、私の身に不利益にならないのであれば、ここをどうこうするつもりは毛頭ない」
「……。そうですか」
こればかりは水掛け論になってしまう。彼女もそれは理解しているのだろう。不安な様子はみられるが、特にそれ以上の追求もない。
もちろん、私が自ら動いてどうこうしようなどとは微塵も考えていないし、する
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