第一部
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じゅう
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作して翻訳機能を弄り、最適化をしようとしたが、如何せんまだまだデータ不足である。
聞いている風を醸し出し、次々に彼女から言葉を引き出そうと発言を促しているが、なんだか雲行きが怪しくなりそうで、これ以上喋らせるのを戸惑ってしまう。
とはいっても、向こうはコミュニケーションを取ろうとしており、特に敵対行動に移ろうとしているわけでもない。それはこちらとしても望むべくなので、なんとか当たり障りのない、簡単な質問を行う。
「ココ、リンドルム、モリ?」
独特な機械音を鳴らして、ヘルメット越しに私の言葉を同時翻訳させる。
彼女はそれに驚きで目を見開くと、すぐに嬉しそうに口角を持ち上げて何度も頷く。
「正解ッ!」
どこのクイズ番組だ。
「ココ、リンドルムの森。奥、もっと奥、イく、リンドワームとかの名前のドラゴンイッちゃう」
不味い。さっきよりも重症だ。
コンピューターガントレットを弄り、ドツボに嵌まる前に修正していく。
「リンドルム、私のカメイはコレから取ってる」
カメイ? 家名か。
なるほど。ここが封建制度や、それに近しい国家の政治形態であるならばどこかの領内といったところで、彼女の『リンドルム』という家名は、この森の奥に生息としている、リンドワームから取られているということか。
いったいこの領地が何年存続しているかは知らないが、リンドワームと呼ばれるドラゴンはそれよりも長い期間、この森に生息しているということが分かった。
「私はニンゲンマン。あなたはニンゲンマンじゃないですか?」
なんだニンゲンマンて。
一度聞いた語句は早々に修正して、大分言っていることと近付いてきたが、初めて聞くような言葉だと一気にバカっぽくなる。
「ニンゲンマンチガウ」
お前が違うよバカ野郎!
「翻訳、上手くイかない。たくさん喋るヨロシ」
そう言って、爪でヘルメットを数度叩く。
私の仕草に、彼女は数秒考えるように顎に手を当てた後、自らを指差し、「ニンゲンマン……ニンゲンマン」と呟く。
そして、後ろを振り向き、「とんこつ丸」と再度呟く。
もう、なんか色々疲れた。
「小鬼、大きな小鬼、小鬼の王様、とんこつ丸、ナンチャッテニンゲンマン」
ああ、はいはい。『人族』と『亜人族(デミ・ヒューマン)』か。
修正、修正っと。
そうやって少しずつ言語の法則性を紐解いていく。かなり根気のいる作業ではあるが、必要なことだ。
私との接触が大本の目的であったのであろうことは、いま、うんうんと考えながら私へと言葉を投げ掛けてくる様から分かったが、大切なのは“私と接触し
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