第一部
ファンタジーへようこそ
じゅう
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「ワタシはエリステイン・フラウ・リンドルムですケド」
うん、「けど」いらない。
「大きな小鬼、小鬼の王様ぶっコロスしたのアナタ?」
なんだか色々物騒な発言だが、まあ意味は伝わるので取り合えず肯首しておく。
「エーット、ワタシはエリステイン・フラウ・リンドルムです」
それはさっき聞いた。
「けど」が無くなったけど。
「コレハ、とんこつ丸ですが」
知らねぇ―よ。
なんでそれだけ上手く翻訳できないんだよ。
「ココ、リンドルムの森。奥までトドクのはソンナにイかない」
ちょっと卑猥だから黙ろうか。
「……とんこつ丸、ニオイよってくるヨ、マモノ」
うるさいよ!
とんこつ丸で固定しちゃったよ、翻訳機。後で修正しておかないといけないな、これは。
―
取り合えず、私はファンタジー世界突入1週間で、なんと現地人とのコンタクトに成功したのである。
プラズマキャスターのトリガーを押すことができなかった私は、半ば諦めの心境で女騎士、『エリステイン・フラウ・リンドルム』の前に光学迷彩機能をオフにして現れたわけである。
紫電を纏い、電子音を鳴らしながら姿を見せる私に、エリステインはだらしなく口を開けてこちらを瞠目していた。
……実はこの瞬間の表情が、何よりも快感を感じる私を誰が責められるというのか。
ヘルメットで隠れてはいるが、してやったりの表情の私は、彼女が再起動するまでその場でじっと待つ。
パクパクと金魚のように口を開閉して、こちらに人差し指を向ける彼女を笑うのは酷だろう。
私は首を傾げてそれに反応すると、彼女はハッとした表情を見せてから、右手に持った剣を鞘へと納める。
少々無用心すぎないかと思われるが、それが彼女なりの誠意の表れなのだろう。
その昔の騎士様は、王より賜った剣を手放すことは不敬とされており、なによりもそれを携えることが誇りとされていた。
もし、私の予想通り彼女がその騎士で、国のトップである王からその剣を賜っていたのであれば、その行動も納得できる。
しかし、いくら私に敵意がなく、一見なんの武装も見せていない風体だからといって、ここまで信用されるようなことをした覚えもない。
まあ、私が下手な動きをすれば即座に斬りかかれるだけの技量がある、と自負しているとも捉えられるし、恐らく私を無力化できるだけの能力は持っているだろう。
……それが成功するかは、別の話であるが。
そして、冒頭である。
礼儀として名乗った、そういうことだろう。
彼女が言葉を発するのに合わせて、コンピューターガントレットを操
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ